384話 ページ19
──と、振り向いた部屋の隅。入ってきた扉がある方向から、何か小さな音がトン、と鳴った。
(………？)
唐突に耳の中に飛び込んできた小さな違和感に、Aは思わず首を傾げ、そのまま引き寄せられるかのように扉の方へと歩み寄る。
「おいA──」
何やってんだ、とザックが言おうとしたその瞬間。トン、という音がまた。次には、ガチャガチャという不快な音が鳴り響いた。扉の外から伝わってくるその音が、リビングの中に不気味に響く。
流石に今度はザックにも聞こえたらしい。ザックは「あぁ？」と不機嫌そうな声を漏らすと、怪訝な顔をしてAのいる扉の前まで歩いてきた。
「なんだ？」
Aがゆっくりと扉を開けたその後ろからザックが廊下を覗き見る。ザックに押されるがままに廊下に出たAは、すぐに足首に何かがぶつかったことに気がついた。
「……人形？」
Aが拾い上げたそれは人型をしたおもちゃ。Aの手の中でビクビクと動き回り、跳ね回ろうともがいていた。Aがゆっくりとそれを元の位置に戻すと、人形はどうやら飛び跳ね扉にぶつかり、床にころがってはまた扉にぶつかる動きを繰り返していたようだった。
「さっきの音はこれかよ！？ ったく、こっちはイライラしてんのにまぎらわしいんだよ……！」
おもちゃに惑わされたことを不快に感じたAがため息をついたその隣で、ザックは飛び跳ね続けるおもちゃを蹴飛ばした。廊下の奥に蹴飛ばされたおもちゃは床に転がり、まもなくその動きを止めた。
ザックは動かなくなったおもちゃを見て盛大にため息をついてみせると、リビングに戻ろうと向き直る。それにAが続こうとしたその目の前で──
──バタン、と勢いよく扉が閉められた。
「……！？」
ハッと息をのんだAが慌ててドアノブを握り扉を開けようとするが、扉は開かない。してやられた、とAの口元から反射的に舌打ちが出た。そして、呆気に取られた様子のザックと、顔を歪めるAを嘲笑うかのように扉の向こうから響く男の声。
──あぁ、よかった。上手く追い出せた！
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
