382話 ページ17
と、その時。レイの腕がソファからはみ出てだらりと垂れ下がる。その腕の動きに合わせてレイのポシェットが開き、その中からひらひらと紙が落ちてきた。
「……あ? んだこれ……レイのカバンから落ちたのか?」
ザックが腰をかがめて紙を拾い上げる。ザックが首を傾げてその紙を眺めるのを、Aもまた横から覗き込んだ。右上に顔写真が貼られた三枚の紙。一枚にはレイの写真、二枚目にはザックの写真、三枚目にはAの写真。
「これ……B5でレイが回収した履歴書だ」
「あぁ? リレキショ?」
「これはわたしと、レイと、ザックの履歴書だよ。わたしたちの事が書いてある紙。わたしたちの顔写真が貼ってるでしょ? こっちがレイので、こっちがザック。これが……わたしの」
顔写真を指さしながらAが説明すると、ザックは思い出したように顔を上げた。
「あー……そーいや、そんなことレイが言ってたな。あいつわざわざ持ってきてたのかよ」
ザックはボヤきながら履歴書を眺めているが、その顔がどんどん不機嫌な表情になっていく。
「あー……読めねぇよ! 文字ばっかで全っ然わかんねぇ! だいたいお前の写真貼ってるこれ、塗りつぶしばっかじゃねぇか!」
「ちょっとザック、破れちゃうから……!」
ザックが怒鳴りながら履歴書を振り回すのをAが慌ててなだめる。
「内容が知りたかったらわたしが読むよ?」
「いらねぇよ! 俺たちの事が書かれた紙なんか読んだところで仕方ねぇ」
ザックはそう言うとそのままの勢いにまかせてか履歴書をぐしゃぐしゃに丸めてポケットに押し込んでしまった。しかし、しばらく黙り込んだ後にザックは思い出したかのように履歴書を取り出して、その中の一枚を見つめ直す。貼られている顔写真は──Aのもの。
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます!そしてお返事が遅れて申し訳ありません……!ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします! (2021年9月25日 2時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます!!楽しみに待っていました!夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください!! (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2021年9月1日 16時