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「そういえば。」
『?』
隣で笠松と楽しそうにワーワー話してた黄瀬がピタリと笑顔を引っ込め、試合に目を向けながらそう呟いた。
私と笠松は何事だと自然に黄瀬に目を向ける。
「この後緑間っちに呼ばれてるんすよね。」
「だから何だよ。」
自分との会話を遮って言う言葉がそれかよと、笠松は呆れたように溜め息をついてもう話すまいと試合観戦に没頭し始めた。
そんな笠松などお構い無しに、黄瀬は私に目を向けた。
「心当たりあったりするっしょ?」
『…。』
私はその確定的とも言える振りに口を閉ざした。
黄瀬の振りは本当に唐突だ。
今聞く事でもないだろうに、何故今。
緑間が黄瀬を呼んだのは勿論、この前の事だろう。
隣りには笠松もいる為今それを説明する訳にもいかない。
曖昧な笑顔を向ければ、黄瀬は1人納得したように私から視線を逸らした。
「結構重要そうっすね。予定すっぽかして澪っちとデート行こうと思ったけど、やめとくわ。」
『真ちゃんとの約束すっぽかすって、命知らずだね。』
「んな大袈裟な!精々精神攻撃チクチク食らって再起不能になるくらいっすよ。」
『それ食らうのはいいんだ。』
「いや全力で逃げるっす。」
だったらしなければいいのでは?
キリッとした表情でこちらを向く彼にシラケた目を向けた。
基本バカだったね。
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作者名:ぽるしぇ | 作成日時:2021年2月20日 22時