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「おい、き、き、きす、とか言ってんじゃねーよ。破廉恥が。」
「ピュアっすか。」
顔を真っ赤にしながら抗議する笠松が少しだけ可愛く見えた。
『笠松さん。ファーストキスまだなんですか?』
少しだけ意地悪して見たくて聞いてみた。
「なっ!そ、そんなんあるか!」
彼はこれ以上とないほど顔を赤く染め上げてアタフタとそう言った。
耳まで赤い。ピュアか。
目線も合わせず、ひたむきに試合を見ながら焦る彼の姿が何とも意地悪しがいがある。
黄瀬達と違って新鮮味があって、これはこれでいいな。なんて。
そんな事を口に出そうものなら、横に座る黄色い魔王が何をしでかすか分からないから心の内にしまっておく。
「そうだろうとは思ってたっすけどね!何なら俺とします?」
「キメーよ。やめろ。」
黄瀬もノリノリでちょっかいかけ始めたが、笠松は彼にはやはり辛辣だった。
『私とならどうですか?』
「は!!!!???」
バッと私に振り返った。
驚愕した、これでもかと見開いた目が合わさった。
ニコっと笑ってみれば、ワナワナと身体を震わせて口をパクパクさせていた。
魚か。
「ちょっと澪っちー。折角出会えたお気に入りの先輩を自分の手で消すのは嫌なんすけどー。」
可愛らしく頬を膨らませて物騒極まりない事を言う黄瀬にドン引いた。
顔と台詞が合わなすぎる。
「は!?消す!?いやしねーよ!」
「ヤダなぁ知ってるっすよ〜。」
「ンな冗談言ってんじゃねーよ…」
「いやコレは本気っすけど。」
流石の笠松も真っ赤だった顔を今度は真っ青にした。
黄瀬はキョトンとした顔で笠松を見ているが、こちらとしては何ともいたたまれない。
こういう冗談は控えるべきだったな。
反省して笠松に心の中で謝っておいた。
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作者名:ぽるしぇ | 作成日時:2021年2月20日 22時