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「隣に俺がいるのに他の男の事考えてんすね。いい度胸じゃん。」
『え。いや間違ってないけど…。』
隣に座ってる黄瀬に怖い笑顔を向けられた。
苦笑しながら私はそれを流す。
今日の試合は彼と一緒に来ている。
朝早くに家まで来てくれて、そのまま一緒に試合会場へ向かったのだ。
結構遠いのに、というより会場まで大分遠回りだと言うのに迷いなく自宅へ迎えに来る彼には驚いた。
愛されてると言えば聞こえは言いけれど、彼の独占欲は何より凄まじい。
普段から常軌を逸している彼だから驚いただけで済んだ。
「独占欲強い男は嫌われんぞ。」
「澪っちはどんな俺でも嫌いになんないっすよー!」
「何だその自信。ムカつくな。」
私の隣に座る黄瀬のまた隣、彼と同じ学校の先輩が呆れた目を向けた。
黄瀬は気にすること無く笑っている。
確か、笠松さんと言ったか。
試合会場で合流し、そのまま一緒に観戦している。
そして彼、笠松さんは、会った時から1度も私と視線を合わせてはいない。
黄瀬の言うには、女性が苦手らしい。
私もあえて絡もうと言うつもりも無いので、苦手なら仕方ないと割り切って笠松さんと黄瀬の会話に微笑んだ。
チラリと彼と目があった。
直ぐに逸らされてしまったけれど。
少し顔が赤い?
私を嫌ってる訳ではないようだから、それだけ知れればいいか。
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作者名:ぽるしぇ | 作成日時:2021年2月20日 22時