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『あ、あの。大くん達は…?』
この尋常ではない空気をどうにかしようと、気になっていた事を聞いた。
そう言えば、赤司や黄瀬、黒子は怪我とか1つもしていないように見える。
制服ではなく私服になっていたけれど。
6人もの成人であろう男性と対峙していたのだから、もしかしたら何かあったのではと危惧してみたけれど、話し合いで済んだのかも思うほど外傷は見当たらない。
だが、ここにはいない3人は大丈夫なのだろうか。
不安がまた高まり、彼らに尋ねた。
「あぁ。3人はリビングにいる。呼んでこよう。」
『ううん。自分でいけるよ。』
「大丈夫?立てる?」
赤司の言葉で私は布団を横にどかした。
よく見れば、制服のままだったけれどきちんと直されている。
誰かが、直してくれたのかな。
黄瀬は心配そうな顔で私の手を取った。
私はその手に捕まってベッドから降りた。
普通に歩けそうだ。
「…よかった。歩けそうですね。」
それを見ていた黒子は、安心したように微笑んだ。
赤司もため息をついては柔らかい表情に戻っている。
雰囲気が、戻ったみたい。
心の中で安堵して、ぎこちなくだが微笑み返した。
『うん。皆のおかげだよ。本当にありがとう。ちゃんと、お礼するから。』
「構わない。無事である事が何よりのお礼だからね。」
「そうっすよ。」
「はい。本当に良かった。」
三者三様、暖かい目でそう言った。
その言葉でまた涙がでそうになるのを必死で堪え、再びありがとう、を口にした。
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作者名:ぽるしぇ | 作成日時:2021年2月20日 22時