Message in a bottle【叡智】 (ページ26)

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2枚目ページ26

『もう1つ、私はやはり言語堕落論には賛成できません。文字は、皆に与えられた平等な力であるべきだと思うのです。大衆迎合主義と呼ばれるように、大衆はわかりやすくセンセーショナルな言葉に惹かれます。結果、子供だましの文言が流布してしまうという問題点の指摘は、理解できるのです。しかし、それでもやはり、一部の優秀な人材にのみ文字使用を許すという制度に、賛成することはできません。言葉“自体”の堕落が本当にあるとして、エリート層に使用を限ればそれが防げるという論に正当性があるのかが疑問です。初期こそ、才人による純粋な知の蓄積が行われるかもしれませんが、「権力は腐敗する」という言葉があるように、いずれは歪みが生じます。都合の悪い情報の破棄、改竄、学問の制限。違いますか？文字を扱えるか否かを政府が決める状況下で、学問の自由は果たして保障されますか？本当に、言葉は堕落しないのですか？
もう一度言いますが、文字は皆に等しく与えられた力であるべきです。小さい者たちの、かき消されてしまうような声に輪郭を与えてくれるような、そんな武器です。防人歌だとかアンネの日記だとかが生まれ、残っているのも、文字が全ての人に与えられていたからでしょう？私がこうして今、想いを稚拙ながら表せているのも、文字が与えられているからに他なりません。』

7月13日→←7月13日