Message in a bottle【叡智】 (ページ14)

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断片_3 ページ14

『この漁村が少子高齢化の見本とも言える内情でして、故に朝から晩まで彼と私は一緒にいました。私にとって彼の隣は居心地が良かったし、彼にとっても私の隣が休息の場であったに違いません。現に我々は、互いに嫌な顔をせず、ずっとそばに居ました。ずっと歌っていました。
あの時ばかりの永遠を、彼は手に入れたのです。あれは、彼の中で永遠となり、その先の未来と引き換えに、彼は、永遠となり、一方の私は忘却と共に彼の分まで人生を歩むこととなりました。

私は、手に入れていません。生きておりますので。
彼は、死にました。
戦地へ向かったのです。
後のことは、忘れました。

彼の時間はそのままです。永遠を手に入れていた彼は、火葬され海にまかれるとしても、海底にて永遠を再生しているのです。嘘ではございません。
彼は、私の耳元で、今も、これを書いている今でも、あの時のうたを歌っているのです。』

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