36 ページ36
・
目の前で、魔法を受けたエリオットが、血まみれになってうずくまっている。
「…うぅ…天使ちゃん、君はそうでなくちゃ…素晴らしい…闇の魔術だ…」
途切れ途切れにそう言って、Aを見上げたその顔は、とても恍惚としている。
反対に、彼女は絶望的な表情で震えていた。
セブルスはカツカツと踵を鳴らし、彼女の隣りに立った。
Aはビクッと身体を揺らし、目だけセブルスの方を見た。
エリオットはそれに気付き、呻きながらセブルスに目を移した。
「…ああ、君か…見ただろう?彼女の才能を。死喰い人が…彼女を仲間にしたがる理由…わかったよ…」
「…君がけしかけたのだろう?」
「フフッ…どうかな…」
エリオットは笑いながらそう言って、自分の傷を押さえた。
制服がズタズタに切り裂かれ、血で染まっている。
セブルスは隣りで震えているAを一瞥した。
彼女は恐怖で何も言えない様だ。
自分のした事を徐々に実感しているらしい。
セブルスは深く溜め息をついて、懐から杖を抜いた。
そして、目の前でうずくまるエリオットに駆け寄り、その杖先を傷口に向ける。
ーヴァルネラ・サネントゥール
唄う様に呟かれる呪文。
たちまちその傷が癒えていく。
驚く事に、切り裂かれた服までもが修復している。
Aは目を見開いてその様子を見ていた。
「…ああ…感謝するよ、セブルス・スネイプ君…僕は命拾いしたなぁ…」
微笑むエリオットを無視し、セブルスは黙って治癒呪文を続けた。
そして最後に、その杖先を、エリオットの頭にスッと向ける。
エリオットがハッとした時には遅かった。
ーオブリビエイトー
それが忘却呪文だという事にAが気付いたのは、すっかり治ったエリオットが、何事も無かった様に天文台の塔から降りて行ったからだった。
・
573人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
心夜 - そうなんですね。これからも宜しくお願いしますo(*⌒―⌒*)o (2021年1月10日 13時) (レス) id: d958da9fc4 (このIDを非表示/違反報告)
piyo(プロフ) - 心夜さん» 心夜様、コメントありがとうございます!自分で作っておいてなんですが、私もです…(^^; 前作の大人編を作る時に決めてしまったので…(汗 ルーピン先生とのバージョンも余裕あればいずれ作りたいな、と思っております。これからもよろしくお願いします(^^) (2021年1月10日 10時) (レス) id: 1647fc4bda (このIDを非表示/違反報告)
心夜 - ルーピン先生押しのため少し残念ですが、楽しみに読ませて頂いてます。頑張ってくださいねo(*⌒―⌒*)o (2021年1月10日 7時) (レス) id: d958da9fc4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:piyo | 作成日時:2021年1月7日 1時