24 ページ24
・
「…何でしょうか？」
溜め息をつきながら、改めて彼女に向き直る。
『…大変お恥ずかしいのだけど、私の杖を取ってくれないかな？』
「…は？杖？」
『うん…』
そう言って彼女は、暴れ柳を指差した。
良く見ると、何故だか知らないが、暴れ柳の頂上に杖らしき物が刺さっている。
『…杖無いから魔法も使えないし、かといってこの柳には登る事も出来ないし…困ってたんだよね』
ハハハ…と困った様に笑っている。
レギュラスは呆れながらも、ローブの中から杖を取り出し握った。
そして、スッと暴れ柳の頂上に向かって杖先を向ける。
「…アクシオ(来い)！」
たちまち引っ張られる様に杖が飛んで来た。
レギュラスの手に収まると、Aは嬉しそうに手を叩いた。
『わあ！ありがとう！』
レギュラスはAに杖を渡そうとして、一瞬そのまま固まった。
手の中の杖をまじまじと見つめる。
『…どうしたの？』
「珍しい杖ですね？この材質は…一体何の木です？」
『ああ！桜だよ』
「桜？」
『うん、私の母国の…あ、ううん、何でも無い』
ー失言した…
Aはうっかり喋りそうになった事を後悔した。
レギュラスはジッとAを見つめた。
彼のその大きな瞳に、吸い込まれそうな感覚に陥る。
やはり、シリウスの兄弟だ。
レギュラスはしばらく黙っていたが、やがて、杖を差し出してきた。
Aはそれを受け取った。
『あの、本当にありがとうね』
「いえ…」
『何かレギュラス君ってさ、いつもシリウスと対立してるイメージがあったけど…』
そう言って、Aは口に手を当ててフフッと笑った。
『君って、絶対良い人だよね？私にはわかるよ』
「なっ…」
レギュラスは呆然とした。
ーきっと兄さんは、この笑顔に魅せられたんだな…いや、絶対そうだ。
だってこんなにも心を奪われるんだ。
…自分の物にしたいと思ってしまうんだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 362人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
piyo(プロフ) - 高校一年生女子さん» 高校一年生女子様、初めてのコメントを当作品にして頂きありがとうございます！お気持ちがとても伝わってきました…温かいお言葉に嬉しくて震えています。お陰様でとても励みになりました！これからも楽しんでいただけるようにがんばります。よろしくお願いします！！ (2020年5月25日 10時) (
レス) id: 1647fc4bda (このIDを非表示/違反報告)
高校一年生女子(プロフ) - →→語彙力がないので言葉で気持ちを伝えることができないのが悔しく残念です。 →まとめると(?)、本当に好きです大好きです！笑、出会えてよかったです。 作者様の作品が続く限り読ませていただきます。 (2020年5月25日 9時) (レス) id: 920c7a2a62 (このIDを非表示/違反報告)
高校一年生女子(プロフ) - →断片的な妄想の後に学生時代のFragmentary delusionを読むのはドキドキするのと同時に苦しさもあって時折ふと悲しくなります。色々な感情が駆け巡って想像が膨らみ...何と言ったら良いのでしょう... (2020年5月25日 9時) (レス) id: 920c7a2a62 (このIDを非表示/違反報告)
高校一年生女子(プロフ) - このようなものを書くのは初めてのためおかしい箇所があるかもしれませんがお許しください(;_;) 先日ハリーポッターの夢小説を求めFragmentary delusionのページに辿り着きました。そこからというもの、Fragmentary delusionはもちろん断片的な妄想も全て読みました。 (2020年5月25日 9時) (レス) id: 920c7a2a62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：piyo | 作成日時：2020年5月24日 21時
