昼食 ページ41
高木と薮を招いての昼食。
そして知念を紹介する大事な日の昼食。
何にするか数日前からずっと悩んで。
結局、知念の大好きな餃子になった。
昨日の夜にタネを仕込んでいると、「きっとみんなで焼きながら食べたらもっと美味しいよ!」とあまりにも嬉しそうな顔をして知念が言うので、あとは焼くだけの状態で寝かせておいた。
本当は包む作業も一緒にしたかったようだが、さすがにそれは時間がかかってしまうからと諦めてもらった。
「知念、このホットプレート、テーブルに持って行って温めておいてくれる?」
「はーい!」
「火傷しないようにね。」
「うん大丈夫!」
寝かせておいた餃子を冷蔵庫から取り出しながら、知念に少し手伝ってもらう。
「伊野尾くん、何か手伝う?」
高木がテーブルからこちらへ向かって声をかけた。
「大丈夫だよ。今日はちゃんと招いたお客さんだから、二人は座ってて?」
「あー、うん。...でも、知念くん、手伝っていいかな?」
高木の少し困ったような声色。
ダイニングに背中を向けていた俺がその声に振り向くと、ホットプレートに悪戦苦闘している知念の姿が目に入った。
「知念...なにやってんの?」
「....ホットプレート.....箱から出そうと......。」
ああ、そうだ..,。
知念は頗る不器用さんなんだった。
一生懸命に箱と格闘している知念を見て、ふっと笑みが溢れる。
「高木、知念手伝ってあげてもらっていい?」
くすくす笑いながら高木にお願いすると、「了解。」と笑顔で返してくれる。
高木の手伝いもあり、ホットプレートの準備を終えた知念は「高木さんありがとう。」と天使のような笑顔でお礼を言うと、パタパタと俺の横に来て「できたよ。」と満面の笑みで報告してくれる。
「ありがと。じゃあ、これ持ってってくれる?」
「うん!...ふふ、早く食べたいね。」
「そうだねぇ。いっぱい食べようね。」
トレイに乗せた四つの茶碗の中には、俺が厳選したツヤツヤな白米。
それを慎重に慎重にテーブルへと運んで行く知念。
俺はその後ろから、バットに敷き詰められた餃子を持ってテーブルへ向かう。
「おまたせ。」
「お!餃子?」
「そ!知念のリクエスト。みんなで焼きながら食べたらきっと美味しいからって。」
「そうなんだ?知念くん餃子好きなの?」
「はい!大好きです!高木さんも好きですか?」
「好きだよー。美味しいよね!」
「はい!薮さんも好きですか?餃子。」
「おう、好きだよー。うまそう!」
「んふふ、良かったぁ!」
268人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちぃねずみ | 作成日時:2017年11月5日 23時