存在 ページ37
なぜか、涙が溢れた。
初めて、腕を回した。
遠かった距離がゼロになる、
そのことが酷く嬉しかったんだ。
暖かい。とても。
今日の私が求めていたのは、
このぬくもりだ。
涙が、彼のシャツにじんわりと染み込んでいく。
そのせいか、抱きしめる力はいっそう強くなって。
少し苦しいけれど、心地よかった。
離れたくない、
この気持ちが、頭を支配していく。
もうずっと、
このままがいい、なんて。
叶うはず無いけれど、
願わずにはいられなかった。
白布くんside
華原を抱きしめながら、
俺は自己嫌悪に陥っていた。
理由は、
華原の気持ちに気付いてやれなかったから。
華原がピアノも幼馴染も放り出して会いに来た時点で、
俺は救われていたのに。
今だって、華原は俺の背中に腕を回しているのに。
やっぱり、華原はあいつに気があるんじゃないか、って。
柄もなく、勝手に図った華原の気持ちを気遣って、
華原と距離をとった。
華原が、俺のことを好き。
・・・そう、全て確信できたわけではないけれど。
“どうしても、あのままは嫌だったから。”
“身体が、勝手に走り出してたんだもん。”
華原は、確かにそう言った。
“ピアノより、白布くんだったよ。”
ピアノが華原にとってどれほどの存在か、
俺は知ってる。
確かなことは、
華原が俺を愛してなくたって、
俺は、華原にとって、
大切な存在になれてる、ってこと。
・・・俺なら勘付けたはずなのに。
ふいに感じた、
シャツが温かく濡れて肌に張り付く感覚。
自然と、腕の力を強めていた。
・・それを知っていれば、
距離を取って、
華原を傷付けることなんて、なかったのに。
不甲斐なさに唇を噛む。
俺は、
背中に置かれた小さな手が握られる感覚と、
じわ、と、シャツがシミを広げていく感覚を噛み締めながら、
・・・この先、何があったとしても、
もう絶対に、泣かせたりしない。
そう、誓ったんだ。
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おしお - いえいえ！こちらこそ要望に応えられずすみません・・・実は要望なんて初めてですごく嬉しかったんです。本当にありがとうございました。本当にごめんなさい。 (2019年5月7日 19時) (
レス) id: e698fce4ed (このIDを非表示/違反報告)
百花(プロフ) - 理由があったんですね！ 何も考えずにコメントしてしまい、申し訳ありませんでした。 (2019年5月5日 9時) (レス) id: bd93b7215e (このIDを非表示/違反報告)
おしお - 他にも読者様の中に「夢主を自分の名前に変換したい。」と思っている方がいらっしゃいましたら、参考にしたいので是非コメントで教えて下さい。 (2019年5月4日 13時) (レス) id: e698fce4ed (このIDを非表示/違反報告)
おしお - 百花さん» ご要望ありがとうございます！夢主の名前を自動変換不可能にしているのには理由があるので、申し訳ないのですが少し考えさせて下さい。やり方は知った上です。本当にすみません。 (2019年5月4日 13時) (レス) id: e698fce4ed (このIDを非表示/違反報告)
百花(プロフ) - 要望なんですけど、主人公の名前、自分の名前にできませんか？ （名前）って入れればその人の名前に自動変換してくれるんですけど、もしやり方わからなかったようならごめんなさい。 (2019年5月3日 18時) (レス) id: bd93b7215e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おしお | 作成日時：2019年3月5日 19時
