ピアノとバレー (白布 賢二郎) 3

芹那side ページ38

「じゃーね芹那。」


芹「んー。また放課後。」



教室に入っていく友達を横目で見送りながら、


1組の教室へとそのまま廊下を進む。



いつも通りの朝。


朝練を終えて、同じく吹部の友達と教室へ帰る。


左を見れば、廊下の窓から眩しく差し込む日光。


9月だというのに暑い朝だ。



「あ、芹那おはよー。」


「おはよー。いつもに増して可愛いーよ。」


芹「はは、おはよ。そしてありがと。」



2組の前を通った時、廊下で駄弁っていた友達2人と挨拶を交わした。



笑顔で2人と手を振った後、


1組の教室へ入る。



ほとんどクラスメイトは来ていて、騒々しい教室内。


でもあたしの親友は、今日もまだ来てないらしい。



「あっ、芹那おはよ。」


「はよー芹那。」


芹「おはよ。」



・・でも、昨日の時間的に、そろそろかな。


自分の席にカバンを置くと、


少し廊下のざわめきが大きくなったことに気が付いた。



・・・来たか。



再び廊下に出る。


すると扉から出てすぐの所に、


見慣れた2人組みが。



芹「おはよ。2人とも。」



身長差のある2人がこちらを見る。



川「おはよ菅野。」


白「はよ。」



川西と、白布くん。


白布くんを見て、


あたしは2度、瞬きをした。



・・・普通だな。


前方から歩いてくる美男美女2人組には、気付いているだろうに。



親友は、幼馴染に向けていた視線をこちらに移すと、


ほんの少し目を細めた、綺麗な笑顔を見せた。



『おはよう。』



・・かわいい。


その行動に、あたしの心が癒されたのは言うまでもない。



芹「おはよ、あかり。」


川「おはよう。」



あたし、それと多分川西も癒されたのは確実だ。


でも、もう1人はどうなの？



あかりはあたし達・・・


・・いや、正しくは、



白布くんの前に立った。



『おはよう、白布くん。』



そして、もう一度、柔らかく笑ってそう言った。


あたしの心臓が変に脈打った時、



白「おはよ。」



・・・・は？


・・・・・予想外。


・・白布くんが、


・・・あたしたちには見せたことない優しい笑みを浮かべてそう返したじゃないですか。



・・つまるところは、


仲直りした、ってこと？



正直拍子抜けだった。


でも、とりあえずは・・・、



隣にいる川西と顔を見合わせる。



・・・おんなじこと、思ってるよね？



川西の口角が少し上がり、


つられてかは知らないけど、あたしも笑った。




・・・よかったじゃん。

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