ピアノとバレー (白布 賢二郎) 3

Be careful. 芹那side ページ39

白「顔になんかついてるけど？」


『え、？』



自分の頬に手を当てるあかり。



白「違う、逆。」


『こっち？』


白「いや・・そっちだけどそこじゃなくて。」



なかなか取れないあかりにもどかしくなったのか、


白布くんが眉間に少しシワを寄せながら、あかりの頬に手を伸ばす。



白「ん、とれた。」


『ありがとう・・・』


白「歯磨き粉だなこれ。」


『うん・・恥ずかしい。』



そんな、朝によくあるやりとり。


しかもあかりって肌白いから歯磨き粉ついてても分かりにくいんだよね。


白布くんすごいな、なんて思っていた時、



芹「！、・・・」



熱い、朝のはずなのに。


酷く冷たい、絶対零度を思わせるような視線に気付いた。



何・・、？


視線を辿った先には、



先程から放っておかれている、あかりの幼馴染。


整った顔は、いつも通りポーカーフェイスだ。



・・今のは、なんだったの？



しかし、


ふふ、と小さく声がして、あかりが白布くんに笑いかけた時、



卯「・・・、」


芹「！」



わずかだったが、


確かに。


その整った顔が歪むのを、


あたしは見た。



芹「・・・・・、」




・・・なぁるほどね。





君も、





好き、ってわけだ。





ポーカーフェイスに戻った彼の顔だけど、




その、



瞳のダークパープルが、



どこまでも深く、濃い、闇を秘めているようで。



考えてることが解らなくて。




・・・とても、危険な感じがしたので。




暖色だったあたしの心は、一瞬にして寒色に染まった。




優しく、幸せそうな親友の顔。



・・今、2人に邪魔は入れたくない。





じゃあ、



ちょっと探ってみますか。



ついでに釘さしておこう。




・・・諦める方向にね？






あたしは彼の方に歩き出して、




隣に、並んだ。





芹「卯くん、だっけ？」





こちらに向いた顔。



近くで見るとさらに綺麗だった。



そしてすぐ、少し上がった口角。




卯「うん。」



芹「あたしは、」



卯「知ってるよ。」



芹「知ってるの？」



卯「うん。菅野芹那ちゃん、でしょ？」



芹「せーかい。あ、あかりか。」



卯「そう。親友なんだ、って教えてくれたよ。よろしくね。」




そう言って卯くんは少し笑った。




その綺麗な笑顔を見て、あたしは少し口角をあげる。



その笑顔は・・・、




芹「よろしく。」






少々、薄っぺら過ぎなんじゃない？




気を付けた方がいいね。

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