◇０６◇ ページ6
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沙「やーん！やっぱり雅紀くんって爽やかで素敵！！スタイルも抜群だし」
雅「ふふ、ありがと。サリーちゃんも超可愛いよ？」
沙「やだぁ雅紀くんったら！照れる(はあと)」
目の前で繰り広げられる二人のやり取りを、つい白けた目で見てしまう私。
沙友里は、初めてここに来たときからずっと、雅紀くんにぞっこんだ。
私と一緒によくルミエールに来てくれるのも、雅紀くんに会えるからって理由。
…まあ。優しい言葉と、あのアイドルスマイルを向けられたら。
女子は誰でもくらっときちゃうよね。母性本能をくすぐられるっていうか…。
雅「…で。何でさっきサリーちゃんはため息吐いてたの？」
沙「それはAがぁ〜…」
雅「Aちゃん？(笑)」
ふふって笑って、ちらりと視線が私に向けられる。
黒目がちな大きな瞳。子犬みたい。
沙「…Aが鈍感すぎてね、翔くんが可哀想だなぁって」
雅「えーなにそれ。二人、もう付き合ってんじゃなかったの〜！？」
そう言って、よいしょ…って私たちの隣のテーブルにちゃっかり座る雅紀くん。
身を乗り出して、真剣に沙友里の話を聞こうとしてる。
おいおい、まだバイト中なのに…。
沙「付き合ってるように見えるでしょう？…翔くんは策士なのよ」
雅「さくし？？さすがカッコいいね〜！翔ちゃん(笑)」
沙「翔くんはね、臆病で慎重だからAに告白する勇気がないわけ」
雅「ほうほう…。確かにそんな感じだね」
沙「だから、まずは周りから『あの二人は付き合ってる』って思われる状況をつくり出して。最後は『もう否定すんの面倒だし、付き合ってるってことで良くね？』とか言うつもりなのよ」
雅「うっひゃー！やるなぁ翔ちゃん」
「……さっきから何勝手なことばかり言ってるの？？二人とも(汗)」
意味不明な妄想で勝手に盛り上がってる二人をよそに、ぐるりと店内を見渡す。
テーブル席が四つに、カウンターが六つほどの小さな店内。
白い壁にはおーちゃんが描いたという、動物や風景の絵が色鮮やかに飾られてる。
閉店時間が近づくにつれ、お客さんの姿もまばらになってきていて。
もう店内には、私たちと、カウンターで新聞を読みながらコーヒーを啜るおじいちゃんが一人いるだけ。
…やっぱりこの時間帯のルミエールは静かで、居心地がすごく良い。
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作者名：りま | 作成日時：2017年8月9日 2時
