◇１３◇ ページ13
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智「…ふぅん。Aちゃんの苗字って、神崎っていうんだ」
翌月、私が家で書いてきた履歴書をおーちゃんに手渡すと。
第一声、そんな言葉をかけられた。
…そっか。みんなに名前で呼ばれてるから、おーちゃん私の苗字知らなかったんだ…。
智「心がある苗字だね」
「え…？」
智「神はそのまんま。崎には祠って意味があんの。神の祠。…要するに、神様を敬う気持ちがこの苗字には込められてんだよ」
「へぇ…」
智「なんだ、せっかく教えやったのに…。つれねぇのな(笑)」
つい気の抜けた返事をしてしまった私に、ふはっと眉を下げて笑う。
だって…。
だって私、神様なんてこれっぽちも信じちゃいないんだもん。
神だの仏だの、そんなものは心の弱い人が困ったときに縋りつくためのでたらめに過ぎない。
そう。神様なんて、この世界にはいない…＿＿＿
潤「あっれ〜？この子が噂の新入りっすか大野さん？？」
智「っおお！今日は早かったね潤くん」
ふいに従業員専用の裏口のドアが開いて。
日本人離れした綺麗な顔の男性が、入ってくるなり私を見て目を丸くした。
潤「初めまして。主にキッチンを担当してる松本潤です。製菓学校に通いながら、本格的にパン職人を目指して大野さんのとこで修行させてもらってます」
熱のこもった真剣な瞳。思わずちょっとドキッとさせられる。
製菓学校に通いながらって…すごいなぁ。
「初めまして。…神崎Aです。今日からここでお世話になります」
潤「…ふふ。大野さんから聞いてたよ？翔さんと同じ大学に通ってんだって？美人で頭も良いなんてすごいね」
「そんなっ、とんでもないです…」
智「潤くん口説いたらダメだよ〜？この子は翔ちゃんの彼女なんだから(笑)」
潤「っえー！そうだったの！？そっかぁ。もう翔さんのお手つきかぁ(笑)」
「なっ…違います！///」
まだ開店前の、朝早くのこの時間帯に。
爽やかな顔でそんなハレンチなこと言うなんて…。最っ低！
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作者名：りま | 作成日時：2017年8月9日 2時
