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何年振りにこぼれ落ちた涙は九井さんを思って出た涙だった。流石に、泣き出した私に驚いたヒナちゃんは慌ててハンカチを出して私の目下にあてて涙を拭いてくれた。
「ごめんね…もしもの話だからね…？Aちゃん」
「ごめんなさい、ヒナちゃん…」
「ううん。こちらこそ不躾にごめんね、でもやっぱりAちゃんにとってその“九井さん”は大切な人なんだね」
大切な人。九井さんにとって私はどんな人間なんだろう。そもそも女扱い…されてるのかな。いつでも子供扱いだし、あ…娘みたいな感じ…な気がしてきた。勝手に大切にされてるのかな、て私は思ってるけどそうだといいな。ずっと一緒に居たからこそ気付けなかったのかもしれないこの不安と不思議な高揚感。
「どんな人なの？」
「どんな人…えっと…よくお金くれる…かな」
当然の反応だった。もしかして、Aちゃんて結構偉いひとだったりする！？てヒナちゃんが動揺し始めるぐらいにはやっぱり九井さんの貢ぎ癖(？)は可笑しいらしい。理由も分からないし、九井さんは何がしたいんだろう。それから、談笑を続けて洗濯機の音で会話が終わる。
「よかったら連絡先交換しない？」
「あ、うん。もちろん、いいよ」
そうして、ポケットからスマホを出すとズラッと画面に表示された九井さんからのメッセージ通知で埋め尽くされていた。一人で出掛けたことがバレてしまった。サイレント設定にしていて、全然気付かなかった。スマホをみて固まっていると、ヒナちゃんがどうしたの？と言ってくる。
「う、ううん。なんでもない、えっとQRコードでいいかな、」
「うん、いいよ！」
連絡先を交換して、私は洗濯物の布団を大きいエコバッグにしまって、彼女に別れを告げて足早にコインランドリーを出ていくと、出てすぐの横に九井さんが立っていた。思わずピシッと背筋が伸びて、しかし九井さんが私に近付くにつれてだんだんと背中が丸くなってくる。
「う、」
九井さんに額をぺしっ、とデコピンされて私の小さな呻き声がもれる。心配させるなバカタレ、と怒鳴るでもなくふつうの声色で私に言って、九井さんが着ていた上着を私にかけて、マフラーを巻いてくれた。
「…すみません、九井さん」
「もういいから帰るぞ」
外気で冷え切ってしまった九井さんの手が私の手を握って、引っ張って歩いていく。冷たいのにすごくあったかくて感じる。
「私、九井さんのことが好きかもしれないです」
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m(プロフ) - 初コメント失礼します。本当に素晴らしいお話でした。完結前に出会えなかったことは悔しいですが、本当に大好きな作品になりました。人間的なストーリーで心が引き込まれ、感動しました。この作品を作っていただき、残していただき、本当にありがとうございます。 (2023年2月19日 12時) (
レス) @page33 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い - 思わず涙がこぼれてしまいました、、、。切ないしもうなんかよかったです。私もテストヤバイ、、、、、 (2021年11月30日 1時) (レス) @page33 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - セツナさん» 読んでくださる方々のおかげで無事完結出来ました🥰感動していただけたんですか…めちゃくちゃ嬉しいです🥺❣️こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました❕ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - 楸さん» あええ大好きなんて悶えます…🤦♀️私もちょっと寂しいなって思ったりしているのでまたココくんの作品書きたいと思ってます❣️頑張ります！！最後まで読んでくれてありがとうございました🤍 (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - アオさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございました！！バンドエンドもいかがだったでしょうか…😌喜んでいただけていたら嬉しいです！ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチンカスヱ x他1人 | 作成日時：2021年11月12日 0時
