PARACAGE 5th【ars】 (ページ22)

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162.五分程度で。ページ22

あの夜から、何か変わったかと言われたらやっぱり何も変わらない。

雅紀くんが私を抱き締めてた時間は、きっと5分程度。
その5分で、私を取り巻く世界は驚く程に変わらなかった。

「明日も仕事だよね」って雅紀くんの言葉で、ベランダ飲みはお開きになって
私は食べきれてなかったポテチを貰って、部屋でやけ食いのようにそれを全部食べた。
何か変わったと言えば、ニキビが本当に翌朝出来てた事くらい。
ほっぺたじゃなくて、オデコだったけど。

みんな、いつもと同じように日々を過ごしていて。
翔さんはお盆に向けて忙しそうで、潤くんはしっかりお盆休みを取る為にかなり仕事を詰めてるらしく帰りが更に遅くなってる。
「たった数日の休みの為に必死で働かなきゃダメって何なのそれ、日本しね」とか言ってるニノくんも潤くんと同じ理由でこのところ帰りが遅い。
唯一智くんだけは、マイペース。
夜に仕事して、昼間はニゴと寝てるかのんびりしてる。

私は逆にお盆が休めないから、そこまでは比較的大変でも無い。
お盆の事を考えたら吐きそうだけど。

「Aちゃん、最近どぉ？」

仕事が休みの日、ダイニングで向かい合わせで座ってた智くんに訊かれた。
私が適当に作った、ワッフルアイス乗せを一緒に食べてた時だった。

「どう...んー、どうも無いかなぁ」
「ははっ、どうも無いかー」
「智くんは最近どう？」
「どうも無いなー」

二人であははーって笑い合う。

その時、ダイニングのドアが開いて「ただいま！」って雅紀くんが入って来た。

「あれ、相葉ちゃん。今日は早いねぇ」
「んー、すぐにまた別の撮影なんだけど忘れモンしちゃって」

そう言いながら雅紀くんが私達の手元を見る。

「あ！美味しそうなの食べてる！」
「Aちゃんが作ってくれたの」

作ったって程では...って思ってたら、彼はフォークを持ってる私の手を掴みアイスをすくって自分の口に運んだ。

「んまー！生き返る！」
「外暑そうだもんねぇ」
「そうなんだよー、しかも次の撮影ロケなんだよ？しかも秋服なんだよ？俺、干からびそうなんだけど！」

智くんとそんな話を私の手を掴んだまま続けてる。

「あ！忘れ物取りに帰って来たんだった」

忘れ物をまた忘れちゃう！って笑いながら雅紀くんはダイニングを出て行って、すぐに階段を上がって行く音が聴こえた。

解放された手をじっと見ながら

智くんの「相葉ちゃんは元気だねぇ」って言葉に、笑って頷く。