PARACAGE 5th【ars】 (ページ23)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:1,708,888 hit

163.お盆の面々。←8.14 ページ23

お盆が来て、テラハウスの面々は六人六色の過ごし方を始めた。

翔さんは言わずもがな、繁忙期...と言うのかとにかく忙しい時期だからこっちには帰って来なくなった。
でも、門徒さんのお宅へ行く為に普段あまり見れない袈裟を着てる翔さんを見れるのは私的にはかなり目の保養。

私が仕事に行くタイミングで、テラハウスの前で翔さんが袈裟姿でカブ子に跨っていて思わず「翔さん、すっごい格好良いですね！」って声を掛けたら彼は本気で恥ずかしそうに目を見開いた。

「いえいえいえ！馬子にも衣装って言いますからね、それですよ！」

首をフルフル振って、唇をキュっと噛みながらヘルメットを被る。
嘘でしょ、自分がこんなに美坊主だって事まで無自覚とか。

きっとこのお盆で門徒さんちに帰省して来た良いお年頃のお孫さんなんかは、翔さんの美しさに真夏の夜の夢を見ちゃうんだろうなぁ。何だそれ。

潤くんは、連休初日から沖縄へと旅立った。
納戸からスーツケースを出してる潤くんに「お土産待ってるね」って言ったら「じゃ、ちんすこうな」って宣言された。

そして旅行に出かける朝、一緒に沖縄へ行くっていう彼のお友達が迎えに来たんだけどそれがまたイケメン。
生田さんは甘い顔立ちで、小栗さんは涼しげ。
チャイムの音で玄関に出た私はそんな二人を見て立ち尽くしてしまって、背後でニノくんが「類友、怖ぇな」ってボソっと呟いた。

そんなニノくんは、お盆休みを利用して自分用のスーツを作るらしい。

「ずっと新調しようと思って生地まで買ってたんだけど、なかなかまとまった時間とれなかったからさ」

そう言った通り、彼はほとんどの時間を自室で過ごしていた。
黄色のドアの前を通ると、ミシンの音が聴こえた。

智くんと雅紀くんは、普段と変わった感じは無い。
でも雅紀くんがお休みの日に、ニノくんと智くんと三人で遊びに行く予定を立ててた。

「Aちゃんも行く？」

雅紀くんが誘ってくれたのに。
私は、バッチリ仕事。

「残念ー！海行くつもりなのにー」って言う雅紀くんの後ろで、ニノくんは「海！？暑い！絶対やだ！」って抵抗。
智くんは「釣りできる海？」なんて訊いてた。

私はと言うと雅紀くんの水着姿が見れるチャンスだったのに！と、まるで水着美少女を見たがるオッサンみたいな事を考えたけどすぐに、私の水着姿まで見せる羽目になるじゃないか！と気付き、仕事で良かった...とほんの少しだけ思った。