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オレは、彼女に手を出していなかった。
したのはキスだけ。それも、唇が触れる程度の。
もちろんオレも男だから、二人っきりになるとそんな気分になってしまう事もあった。
だけど、それはさすがに出来なかった。だってオレの心はここに無い。
だったら別れろって言われそうだけど、それでも別れなかったのは別れ話が出来なかったからだ。
彼女はオレにネガティブな話をさせないような雰囲気をずっと作っていた。
ずっとニコニコ笑って、笑い声で「好き」だと言い続け、別れる理由を作らせなかった。
「...友達はみんな、彼氏ともう...」
「友達がヤったからお前もヤりたいの？」
「ちが...っ！」
抱き着いてた腕の力を緩め必死に首を振る潤んだ目が、オレを見上げる。
「......どうして...？」
「何が？」
「どうして、カズくんは私と...してくれないの...？」
「......」
「...私が初めてだから？面倒臭い...？」
「......」
「ねぇ、カズくん...！」
どんどん、彼女の目の中に涙が溜まって行く。
「......オレ...」
彼女の唇が、オレの言葉を遮った。
細い肩を押し返すと、簡単に短いキスは終わる。
「ダメだって」
「......」
「...後悔させたくないんだって」
「......後悔なんて...」
「最初は...ちゃんとお前を好きだって言ってくれる奴にとっとく方が良いって」
とうとう彼女の目からボロっと涙が零れた。
最低だ。オレは、本当に最低。
「......カズくん、私のコト...」
「......ごめん」
拭っても拭っても止まらない涙を、彼女は一生懸命に掌で押さえる。
どの位、沈黙だったんだろう。
彼女が鼻を啜る音だけが響くリビングで、その沈黙が耳に突き刺さっていた。
「...ホントは...」
彼女の声は、掠れている。
「...何となくそんな気がしてたよ...」
「え...？」
「カズくん、私のコト好きじゃないんだろうなぁ...って」
「......」
「告白されたから何となく付き合ってくれてるだけなんだろうなぁ...って」
その声の温度は、オレを責めてる訳でも無いし怒ってる訳でも無くて逆に少し笑ってるようだった。
「だけど私はカズくんが大好きだから、それでも良いって思ってたし嬉しかったんだよ」
「......」
「...今だって、カズくんが私を好きじゃなくっても良いから一緒に居て欲しいって思ってるんだよ...」
一瞬は止まってた涙が、また溢れ出す。
ごめん...と謝ったオレは、彼女の身体をソっと抱き締めた。
それは正解じゃないって、分かってるのに。
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moma(プロフ) - すごくすごく面白かったです。 (2019年9月21日 11時) (
レス) id: 48200bde74 (このIDを非表示/違反報告)
インコ(プロフ) - (続き)本当にありがとうございます！ご自分のペースで無理せず更新頑張って下さい！ それから、青い鳥でフォロリクを送らせて頂きますのでもし宜しければ承認お願い致しますm(_ _)m (2018年10月9日 1時) (レス) id: 3319455bb8 (このIDを非表示/違反報告)
インコ(プロフ) - 初めまして！いつもお話楽しく読ませて頂いてます。reiさんのお話本当に大好きです！パラケージのニノさんには絶対幸せな恋をして欲しいと思っていたので、番外編を書いて頂けるのが嬉しくて嬉しくてたまりません！！ (2018年10月9日 1時) (レス) id: 3319455bb8 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - reiさんこんばんは(^^)ようやくPARACAGEの番外編まで読み終えれました！もうずっと占ツクにこれてなくて、やっと読み終えました（笑）最近恋とかトキメキとか現実世界では皆無な私なので、いつもここでトキメキをもらってます！ありがとうございます(^^) (2018年10月8日 22時) (レス) id: 748073de52 (このIDを非表示/違反報告)
ことぶき(プロフ) - reiちゃん、お疲れ様です(_ _)ﾌﾌﾌ男子会、大好きです(≧∇≦)懐かしい！とさえ思っちゃう。あっちのみんなもまだたまに男子会してるかなー(笑)ちょっと久しぶりに覗いてこようかな(^_^) (2018年10月8日 2時) (レス) id: 609722865b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年3月8日 18時
