LoveSituation4 《Sho.S》 (ページ5)

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5:Margaret21〈やっと・・・〉ページ5

｢ここにいたんですか。」

俺は彼女の後姿に、そう言った。

｢変ね。
愛していた人だったのに・・・
一滴も・・・涙が出ないの。」

真っ暗な部屋で、水森さんの視線の先には何があるのだろう。
暫く間をおいて、彼女が再び口を開いた。

「むしろ、ホッとしたのかもしれない。
雅紀には申し訳ないんだけど。」

俺は彼女の後ろ姿を見ながら、話を聞いていた。

｢でもね。ここで一緒に暮らしていた幸せな時間もたくさんあった。
あんな人だったけど。
もう愛してもいないはずなんだけど。

でも・・・ひとりになったら

やっぱり・・・
さびしい・・・」

水森さんは涙声だった

俺は。

彼女を背中から強く抱きしめた。

彼女の背中は細くて、小さくて。
あごの下の彼女の頭から、一緒に使っているシャンプーの香りがした。
彼女は俺の腕の中で、肩を震わせていた。

｢俺じゃ・・・
俺じゃダメですか？
俺じゃ。」

｢櫻井さん、
お願い・・・やめて・・・
そんなに優しくしないで。

あなたのこと・・・

好きになってしまうから。」

｢俺は、水森さんに出会った時からずっと。
ずっと・・・
あなたのことが好きです。」