失楽のウンディーネ 6【イナイレ】

・ ページ39

『ところでAlice、今どこにいる』


「ああ、今また稲妻町へと戻ってきているんだ」


先程、またエイリア学園───ダイヤモンドダストとかいうチーム───から宣戦布告をされたので今からFFスタジアムに向かうのである。


アルジュナは流石に人目に付く場所に連れていくことは出来ないのでキャラバンの中で実質待機なのではあるが。


『成程、よく分かった』


GPSを確認したらしい、私の行動履歴も彼は掴んでいるだろう。


『調査と護衛は同時並行になるだろうな』


「悪いが頼んでもいいか、特にお前はバックアップもあるから大変だとは思うが」


ごう、と大きく風が吹いて開いた窓からキャラバンの中を揺らした、少し長くなった髪の毛が帽子から逃げ出す。


推定達成難度とは文字通りの意味だ、上から黒 紫 赤 橙 黄の順で並べられる。


赤以上の任務に当てられる際は、クリアランスレベル3.0以上の者がその戦闘力を認め、参加を許可した者でなくてはならない。


詰まるところ支部長以上の権限。


そして今回の調査任務の難度は紫───最高ランクから2番目。


しかも敵対組織の関与が見受けられると何処かからリークされてきた情報によって、始末の許可すら与えられているのだ、危険視しない筈がない。


だから正直かなり心配なので私も着いていきたいのが本音、勿論アメリカ支部の人は皆が皆優秀なのでそういったことに関しての心配は他の支部よりもそこまでないのだが。


俗に言う当社比と言うやつだろうか。


『任せろよ、こっちには青髭軍隊(L'armée de Jill)成り上がりが2人もいるんだ、顔だけ野郎も足でまといではねぇし』


『ねェちょっと今なんて言った？


ジャックちゃんちょっと？』


『うるせェ悪魔憑き(中毒患者)！！！


テメェは愛しのメアリージェーン(○リファナ)とハネムーン(トリップ)してな！』


『いやそれ医療用(Medicine)！！！！』


その咆哮と共に切れる電話に苦笑しながらも愛着を覚える。


「……ऊर्जयते?」


「？」


「क्या तुम खुश हो(幸せなのですか?)」


「…………」


嬉しいのか、と聞きたいのだろうか。


「……मैं खुश हूं(うれしいよ)」


そう言うと彼は、また満足そうに笑った。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す