失楽のウンディーネ 6【イナイレ】

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流石に可哀想になってきたので状況把握をと、彼に話し掛ける。


多少理解の遅延はあるものの、気にならない程だ、5歳程でバイリンガルなんて、とんでもないな、と末恐ろしく思いながら。


「少年、君は何が食べたい」


「？？」


「क्या आप को मिठाई पसंद है(あまいものは すきですか)」


「？……आं！」


「क्या आप मेरे साथ चलते हैं(わたしといっしょにいきますか)」


「आं,आं！」


「よかった」


「？」


「なんでもないよ。


चलो चलते हैं(いこうか)」


「！」


キャラバンを降りて、彼の包帯やガーゼだらけの腕をちょんと引っ張る。


「お揃いだな」


首元のガーゼと足首の包帯、豆を隠した革製のグローブが反射する。


不格好どうし、仲良くしよう。


「……अर्जुन(アルジュナ)」


「……？」


「nā́man(なーま).


तो आप का(きみの)」


「！


अहम……?」


「ん」


「अर्जुन(アルジュナ)……？」


「そう」


そこからの顔は見なかった、彼がどんな顔をしているのか分からないし、私ももう見る気がなかった。


見れなかった、の方が正しいかもしれない、そもそも簡単に名付けなんてするもんじゃないのだ、元来の臆病さが私を蝕んでいく。




人格者で人望があって、努力が出来て、せめて神々に愛される様にだなんて、早死するかもしれないのに。


つくづく思う、私は、本当にこういうのには向いていないのだ。

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