閑話 15_紅茶と砂時計 ページ48
ハンス達と話した結果、周辺には敵対組織の残党が残っていること、それの確認と始末に少なくとも8時間はかかることから、私達はホテルに1泊してから愛媛を出ることとなった。
8時間でも結構早い方ではあるし、対戦では日本支部がサポートに回ったということもあり、アメリカ支部は今回お休みだ。
情報提供はするが、ホテルから出ることは無い、1日のみそこを基地として使うこととなる。
その役をハンスが買って出たので私はゆっくり休ませてもらおう。
因みに私たちが泊まったホテルは帝国学園が泊まったのと同じ場所だ、取り調べを終えた不動は疲れたようにベットに伏せっていた。
ナチュラルに私の部屋に来て。
「しんど…………」
「お疲れ様、紅茶はいるか？」
いる、と言ったきり死体の様にピクリとも動かない彼に苦笑する、彼もあんなに走ったらそりゃあ後日辛いだろう。
私も少し筋肉痛で体が痛むが、この程度なら1日で治るものだったので、正直1泊の件はとても助かったのだ。
「何がいい、私のおすすめはアップルティーかアールグレイだが」
あとダージリン、と付け加える、これに関してはジャックが送ってきてくれたものでは無いが、結構美味かったので気に入っている。
彼はその返答におすすめで、とくぐもった声で返した。
沸かされたお湯を、ホテルのケトルでカップに入れてから砂時計をひっくり返した、からん、と中の貝殻が鳴る。
林檎の甘い匂いがし、不動が顔をあげた。
「中々洒落たモン持ってんのな」
「……？
これのことか？」
砂時計をみる、これもピンと一緒で、多分記憶を失う前からあるものだ。
比較的新しいそれを手に取る、小さな隙間から流れる砂をじぃっと見つめていた、時々貝殻がまたガラスに跳ねてからんと鳴る。
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
