第39話 ページ41
私はペコリと頭を下げる。お辞儀を返す様子はないので、この世界にはお辞儀の文化はないのかもしれない。
「今回は顔合わせのための招集ですから、各々自己紹介をしてください。そうですね……ではリドルさんから順に」
学園長先生の言葉に、朱色のショートヘアの青年が歩み出てきた。
グレーの大きなつり目が印象的だ。
「はじめまして、Aさん。ボクはリドル・ローズハート。ハーツラビュル寮の寮長を勤めているよ」
そう言うとリドルさんはスッと手を差し出す。
私はその手を握るとリドルさんはにこりと笑った。
「よろしく」
『よ、宜しくお願いします……』
リドルさんの手を握り返す。リドルさんはにこりと微笑んでくれた。
その隣で黒い長髪と褐色の肌が印象的な人が、腕を組んでこちらを見つめていた。
頭には獣の耳が生えていて、一目で昨日ジェイドさんが話に出ていた獣人の1人だと理解する。翡翠色の目は切れ長で、左目についた縦長の傷が雄々しさに拍車をかけていた。
「……レオナ・キングスカラー。サバナクロー寮寮長だ」
『宜しくお願いします……』
当の本人は宜しくするつもりはないようで、そっぽを向き後ろ頭をボリボリとかいていた。長身のレオナさんから放たれるオーラのせいか、なんだかとても近寄り難いのだけれど……。
じっとレオナさんの耳を見つめていると、見覚えのある銀髪がスッと視界に映った。
昨晩お世話になったアズールさんだ。
「昨日振りですね、Aさん」
『アズールさん、おはようございます』
「おはようございます。昨晩はよく眠れましたか?」
『寝付くのに時間はかかりましたけど、眠れました。心遣い痛み入ります』
「いえいえ。改めまして、オクタヴィネル寮寮長のアズール・アーシェングロットです。宜しくお願いしますね!」
『Aです。宜しくお願いします』
アズールさんは優しく微笑むとリドルさんと同じように手を差し出した。私は答えるようにアズールさんの手をしっかりと握り返す。
アズールさんはそんな私を見てにこやかに微笑んでいた。
「次は俺だな!」
アズールさんと手を離すと同時に横から明るい声が聞こえた。
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小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» 台詞の中に違和感なく潜んでるのがいいですよね。そんな要素を探すのもツイステの楽しみですし、ツイステから入った方に、そういうささやかな楽しさを伝えていきたいです(o´艸`) (2020年8月9日 15時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 小崎相良さん» アリス、というかディズニー全般歌が多いから、余計に勘ぐってしまう…好きだなぁやっぱり (2020年8月9日 15時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» コメントありがとうございます。そうなんですよね!細かいところに原作の要素が散りばめられてて、気づくとあっ!ってなります。 (2020年8月9日 15時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 春の庭、春の庭…アリス、……ゴールデンアフタヌーンを入れ込んでたのか…さすが制作陣。拘るなぁ…とても好き (2020年8月9日 9時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - マチさん» コメントありがとうございます!お気に入りいただけてとても嬉しいです!不定期更新ではありますが、これからもよろしくお願いいたします。 (2020年7月28日 0時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2020年6月6日 10時