【ナイルさんの行動を考える２】 ページ32
追いかけた先、たどり着いたのは建物の裏にある小さな庭園。正面に比べ落ち着いた雰囲気のそこは人気がなく薄暗い。見ただけで足を踏み入れることを躊躇いたくなる。あたりを見回すと、その庭の中央に私が探していた人物がポツンと立っていた。背を向けて立つその姿になぜか不安を覚える。
何かが変わったわけではない。しかし、数分前にあったときと全然違う雰囲気があたり一面に漂っていた。
『ナイルさん？』
私の声にナイルさんがくるりと振り返った。
「…………まだ何か用かい？」
はぁ〜っと深く長い溜め息をついたナイルさんが怠そうに言う。その行動からも表情からも“面倒”だと示している。
しかし、引くわけにはいかない。
『何か用って、あるに決まってます』
「何故？」
ナイルさんがこちらをじっと見つめた。
ーーー何か様子がおかしい。
ーーー今までの反応と違う。
感情を何処かに置いてきたようなそんな冷たい視線に、私はごくりと唾を飲み込む。その理由はわからないし、目に見えてまわりやナイルさんにおかしな部分があるわけじゃない。
ただ、違和感を感じる。
ナイルさんの纏う空気が淀んでいるように感じるのだ。今までも何度かナイルさんと話したが、その時には感じていなかった何かを今は感じている。
……もし、彼が故意にそれを私の前で隠して接していたとしたら。その事に気がつくと、身体中に鳥肌が立った。ナイルさんから目が離せなくなる。体も小刻みに震えていて、自分では制御できない。
「A」
肩に触れた感触に体がびくりと跳ねる。
それは鏡花くんの手だった。
ナイルさんに動いた様子はない。
「落ち着きなよね、大丈夫だから」
グッと肩を抱き寄せられ、左耳を通して落ち着いた少し高い声が頭に響いた。聴き慣れた、鏡花くんの声だ。
『きょ……か、くん……』
「……深呼吸、あんたならできるだろ」
言われた通りに深く息を吸う。身体中から余分な力が抜け、震えと鳥肌が徐々に収まっていった。
「しっかりしなよね」と言いながら、鏡花くんは眉間に皺を寄せる。
「で？あいつがナイルって人なの？」
『……はい』
「やっぱり……ねぇ！あんたに聞きたいことがあるんだけど！」
鏡花くんがナイルさんに声を投げかける。
ナイルさんはその声を聞いてゆるりと視線を鏡花くんへと移した。
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小崎相良(プロフ) - Koma?さん» お返事遅くなりすみません！ありがとうございます！ (2022年1月22日 18時) (
レス) id: 6783c5a7bd (このIDを非表示/違反報告)
Koma?(プロフ) - ちょーぜつ面白いですね！最近めいこい見始めて最初に出会った作品がこれで良かったです！ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 二酸化酸素さん» ありがとうございます！嬉しいです！ (2021年7月21日 22時) (レス) id: b1e523f101 (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - 本当にゲームをしてるような気分になりました (2021年7月19日 1時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 鈴華さん» 楽しんでいただけたなら幸いです(o´艸`)！こちらこそ閲覧頂きまして、ありがとうございました！ (2020年8月4日 23時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年2月23日 10時
