第120話 いつか必ず。 ページ29
「……まさか、彼奴を選ぶだなんて、思っていなかったんだがな」
『……私自身、吃驚してますよ。普通だったら有り得ないですし』
「彼奴はクズだしバカだし……最良物件、とはお世辞にも言えない奴なんだがな。ニートだし」
『それブーメランですよカラ松さん。しかも兄弟全員そうですしーーあっ、すみません』
「あ、それ本心なんだ?」
『え、えへへ……』
私は苦笑いしながら俯いた。妙な沈黙が流れる。
「『……』」
『(き、気まずい……何か、何か話さなければ)』
「……俺は」
『へっ?』
ポツリ、と。唐突に呟いたカラ松さんの言葉に、私はつい間抜けな声を漏らしてしまう。
「俺は、諦めない。いつか、必ず振り向かせてみせる。その愛らしい笑顔も、仕草も、姿も、全て。俺だけに向けてくれる様にーー」
『(あ、あかんヤツやこれ。私の本能が訴えかけてきてるぅぅ!!)』
私はついジリ、と一歩後退ると、ギシ、と廊下の床も音をあげる。
「ーーこれを機会に、俺はAにアタックし続ける。これは忠告とも受け取れる。良いな?」
『は、はいぃぃ……』
これしか言えなかった。あんな意地悪そうな笑みを浮かべたカラ松さんなんて見た事あっただろうか。
「まあ早速」
『さ、早速とは一体、何の事でしょうかぁ……?』
私はまた一歩後退ると、今度はカラ松さんが一歩前に踏み出した。
「決まっているだろう?」
にっこりと。えぇ、それはそれはもう爽やかな笑みで。私はいつの間にかその笑みが目の前にありました。そして、両手首は拘束されている状態で。壁に背をつけている状態で。
『こ、これ二回目ですよ?壁ドン二回目ですよぉ?』
「ふむ、読者様が好きなヤツだな」
『メ、メタァ』
振りほどこうにも力が強すぎて振りほどけない。これが一番困るんだよなあ。やめてよね。そう内心思っていても伝わらないだろう。
「もう一回、したいか?」
『も、もう一回とは……?』
「……脱衣所でのアレ、もう一回、したいか?」
『っ!……め、滅相もございません…』
私は顔を白くしながら。相手はにこにこと私に壁ドンしながら。まあ何ともカオスな状態だった訳です。ドSスイッチが入らない事を願う一方で、あちらは……まあもう入っちゃってるでしょうね、と頭の片隅で諦めた。
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ヒナ - なんか、全部良すぎて決められん! (2018年1月26日 6時) (レス) id: 7822f14dc9 (このIDを非表示/違反報告)
ショボン(プロフ) - え?じゃあ私も……おそ松兄さんをいただきm((兄さんの取り合いになるwww神作者粉粉粉粉粉さんvs駄作者ショボンの戦いですねwww負ける気しかしないwwww (2017年12月3日 23時) (レス) id: cfb5abdebb (このIDを非表示/違反報告)
粉粉粉粉粉 - ちぃさん» 私の作品が好きだと言ってくださるなんて嬉しいです!励みになります!あ、ハゲじゃないです!ふむ、良いご趣味(アニメ)をお持ちで。リゼちゃんとシャロちゃんは今日も天使です。背中を押されながらも更新頑張りますー! (2017年12月2日 22時) (レス) id: 69bd423521 (このIDを非表示/違反報告)
粉粉粉粉粉 - ちぃさん» ぬあっ!?こんなにたくさんのコメント、ありがとうございます!長らくお待たせしました、コナゴでございます。長男は愛すべき為に生まれたのです。尊いです。はぁしんどい。 (2017年12月2日 22時) (レス) id: 69bd423521 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - 更新はやーーくぅ そなたが更新するのを楽しみにまっているぞい!((ニコッ (2017年11月23日 14時) (レス) id: a8a7c657ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:粉粉粉粉粉 | 作者ホームページ:http://Conago
作成日時:2016年5月2日 23時