第1話 ページ4
Aside
『そのままの意味だよ。あの日刺されるのは君じゃなく詩音の方だったんだ』
ピエロはわたしの胸元を指で小突く。
『失敗したな。ちょっとボクの計画が粗かった。君があんなに勘が鋭いとは思わなかったよ』
「何、言って_____ 」
わたしの言葉に、ピエロは嗤いながら答える。
『全部ボクが仕組んだのさ。
詩音を此処へ呼ぶ為に、詩音にやってもらいたい事があったからね。
此処へ呼ぶには危険な目に遭ってもらわなくちゃ』
「なによ、それ!」
思わず声を荒げた。
『まぁ、君には理解出来そうにないから詩音を選んだのに。はぁ、ボクの計画が崩れちゃった』
さっきから何を訳の分からない事を。
『君が来ちゃったら仕方ない。君にやってもらおう』
「やらないって言ったらどうするの?」
ピエロの声に、わたしは低い声で返す。
絶対にやらないと口角を上げながら答えた返事にピエロは少し考えるように足りない指を顎へ持っていく。
『詩音に痛い目みてもらって此処に呼ぶさ』
嗤うピエロは指をくるくる回しながらそれがいいと声を張り上げて言った。
有り得ない。
理不尽すぎる。
わたしは唇を噛み、震える両手で自分を抱きしめる。
この身をかけて守ったものが、理不尽にも踏み潰されるのは堪え難かったから。
「やめて……」
『どうして、君はやらないんだろう?』
「……っ、やるわ。
それで詩音ちゃんが傷つかないなら」
そう言ったわたしの声は震えてる。
だって怖いじゃない、理不尽な事ばかり言うピエロがやらせる事はきっと普通じゃない。
『君ならそう言うと思ってたよ。
じゃあ改めて君にやってもらいたい事を説明するよ』
そう言って話し始めたピエロ、言い出したソレは思いもしないもの。
『君がいた世界とは異なる世界に行って、その世界を救うっていうより元に戻して欲しいんだよね』
「はぁ?」
やっぱり普通じゃない。
でも、好奇心旺盛でお節介な詩音ちゃんなら目を輝かせてやるって言いそう。
『……、だから君じゃなく詩音を呼びたかったんだよ』
「どうして詩音ちゃんなの?救うならもっと屈強な人の方がいいんじゃないの!?」
そうだ。
世界を救うとかそんな夢物語みたいな事をするなら正義感が強くて屈強な、そんな人がいい筈でしょう?
『あー……と。
君は、【うたの☆プリンスさまっ♪】っていう作品は知っているかい?』
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作者名:バンビ | 作成日時:2020年9月13日 22時