[図書委員会] ページ31
「最終関門だなぁ……」
図書室の前に立ちながら、私はそう零す。横にはきりちゃんと連行されてきた怪士丸。あと三郎次に説得されしぶしぶ着いてきた久作。忍者だし多分私たちの気配には気づいているだろうが、とりあえず最終確認を取る。
「いい?とりあえずこれは私が読むから。クレジットには君たちの名前を表記しておいたから。著作権とかは気にしなくていいよ!」
「ちょ……?」
「あ、うん……あの……と、とりあえず私の美声でこの紙芝居を完璧に読んでみせるから!そんなことしたらもう二人は皆にも私にもメロメロだから!『下級生の思い出紙芝居大作戦』大成功だから!」
「声がデカい!」
久作の刺すような叱責に口を噤む。何よつれないわね!ビックボイスは私のアイデンティティだっつの!でもそう反論したら更に怒られることは明白なので、素直に小さくて細い声を出した。
「とにかく……皆は横で聞いててくれたらいいから……。先輩たちは優しすぎるだけだから、君らのことは嫌いじゃないはずだからね……」
そう言って、私はもう一度図書室に向き直った。引き戸の窪みに指をかける。そして思いっきり横にスライドさせた。
「こんにちは!!!!」
「図書館ではお静かに」
意気揚々と挨拶をした私へ、長次の鋭い視線と不気味な笑顔が向いた。ひ、と喉が引き攣る。いやでもここで引く訳にはいかないのだ。強ばった顔を指で押し、表情筋を元に戻して長次へ話しかける。
「紙芝居、好き!?」
ずいっと出したそれは、図書委員会の下級生三人に頼んで仕上げてもらったもの。題名は「ぼくらのおもいで」。内容は言わずもがな、図書委員会での思い出を描いたハートフルストーリーである。
図書の整理をしていた雷蔵は、「わあ、紙芝居?いいねえ」と柔らかな声を出す。驚いたように薄く口を開く長次の肩に手を添えて、「見せてもらいましょうよ」と笑った。その言葉に背を押されたように、長次は「……見せてくれ」と低い声で私に返す。
「任せといて!さ、スタッフのみんな!来てくれる?」
中に入り、適当な文机に紙芝居を置いて、ちょいちょいと手招きする。出入口からそろそろと下級生たちが入ってくるのを見ると、長次の顔が強ばった。
「さあ、始めちゃうよ。効果音やキャラクターボイスはご本人様にお願いしています」
「豪華キャストだねえ」
「でしょお〜」
落ち着いたように微笑む雷蔵にそう返して、私は表紙の紙をめくった。
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小桜(プロフ) - ほんっっっとうに面白いです! 夢主ちゃんの言うことに共感しかありません。そうですよね、忍たまキャラはみんな殺戮兵器ですよね、視界に入れただけで失神してしまいそうです。夢主ちゃんってアホだけどアホじゃない(何言ってんだ?)! 続きも楽しみにしてます! (2022年3月28日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - ( ・_______・ )くじら!さん» わぁ!ありがとうございます!音読して笑っていただけるの嬉し〜い!!私も音読して笑ってます!(うん?)夢主はこれからもハイスピードで駆け抜けていきます!楽しんでいただけると嬉しいです! (2021年11月23日 15時) (レス) id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
( ・_______・ )くじら!(プロフ) - とても夢主ちゃんの(いい意味で)アホなところに面白くて笑っています!偶に音読して、さらに笑っています!(笑)お身体大事にして下さい:) (2021年11月12日 12時) (レス) @page26 id: 4f01b1638d (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - いちごもんすたーさん» ありがとうございます!ちまちま更新頑張ります! (2021年9月20日 11時) (レス) id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもんすたー(プロフ) - 夢主さんのオタク発揮具合がめちゃくちゃ面白いです(笑)更新楽しみにしています!お体にはお気をつけて (2021年9月16日 21時) (レス) id: c5f21f47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2021年9月15日 16時