【あんスタ】殺し屋がプロデューサーをして大丈夫なんですか？２ (ページ21)

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突如として脇腹に激痛が走った、触ってみれば手が赤く染まっている

誰かに切られた

誰に切られた…………？

ここには誰もいないはずだ、十二人の警護も息はとっくにしていない

高そうなベットで意気揚々と寝ていた男もあの世に送り、さあ帰ろうとなっていた所

私は咄嗟に後ろを振り向いたが目に入ったのはもう少しで日に照らされ明るくなっていく街と風に揺れているカーテンだった

こういう景色はもっとマシな状態の時に見たかった

とりあえず、クローゼットを物色させてもらい清潔そうなシャツを取り出した

引き出しからハサミを拝借して適当な大きさに切って体に巻き、即席包帯にした

こんな体で街中を歩くのは無理だと踏んで、優ちゃんにLIMEで〝怪我した、迎えよろ〟と送ったら直ぐ来てくれた

「ちょっと見せろ」

『えっ』

半ば強引に抑えていた手を退かされ傷を確認された

「今すぐ暗素(くらもと)さんのとこ行くぞ、そんな怪我じゃろくな仕事は出来やしない。しっかり包帯巻いてから会場に出向け。分かったか」

『ｱｯﾊｲ』

相当、お怒りというか心配をかけてしまったようだ

ちなみに、暗素さんは闇医者さんだよ

“闇”医者だから“暗”素さん、覚えやすいでしょ

「で、どうしたんだそれ。お前にしては珍しいじゃないか、そんな深い傷。転びでもしたか」

少ししたら優ちゃんの方から話しかけてきた、煽られた気がしたけど気の所為か

『転んでたら今頃私はここにいないって、暗素さんのとこで一緒に後で話すよ』

私はほぼ完璧に依頼をこなした事、帰ろうとした所で何者かに切られた事、振り返ったけど誰もいなかったことを優ちゃんがいるので細かく説明した

暗素さんはいつもの笑顔で「はい、終わり。用事が済んだら直ぐにおいで、縫わなきゃいけないから」と言って、手際良く包帯を巻いて鎮痛剤をくれたので、裏方中は凌げそうだ

なんでこんな優しい人が闇医者やってるのか、それは大昔から謎で包まれているのであった

優ちゃんと暗素さんに見送られながら私は足早に会場に向かう、想定したよりも早く終わったので物販の仕事を手伝えるかもしれない

時々ズキリと痛む脇腹を気遣いながら電車に乗り込んだ