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連中を拘束し、奥に置かれていた石版について尋ねた時、暗いこの場所に眩い光が放たれる。強い光に目を細めた拍子にユリウスが捕らえた敵を連れて行かれた。だが、流石は魔法帝と言うべきか。一人は逃さずにいた。
「Aくん、何だかご機嫌ナナメかい?」
「丸焼きにすんぞ。」
普段通りのユリウスに顔を合わせず言い捨てる。アスタがユリウスに事のあらましをコソッと伝えれば小さく頷いて納得した。
「ねぇ、証拠も何も無い…ただの嫌悪の憶測の話していい?」
「うん、何だい?」
ユリウスとアスタに背を向けたまま口を開いたAをユリウスは我が子でも見守るかのように優しい瞳で答えた。Aはユリウスから見ても頼りになり過ぎるくらいの魔道士だ。実力も判断力も思考力も申し分ないほど持っている。その背中はその歳の娘が背負うにはあまりに重く大きなモノを背負っている。それがさらにAを頼もしく見せていた。それは、彼女の決意と覚悟であり絶望でもあるから。だが、今目の前にあるAの背中は年相応のものに思えた。Aもユリウスから見たらまだ幼い存在である。
「国王派の連中でしょ。」
何が、とは聞かなくてもユリウスもアスタも分かった。Aの仲間を売った人間の事だろう。証拠はAの言う通りないが、ユリウスももしかしたらと感じていた。
「連中、私の事嫌いだもん。根拠なんてそれで十分。私もアイツら大っ嫌い。犯人探しもかったりぃしアイツら全員灰にしてやろうか…」
外から差し込む光はオレンジ色に変わっている。そろそろ王都に戻ろうと振り返った。ユリウスの魔法があれば王都へなんて直ぐに着くのだから。アスタの不安げな声を耳にユリウスに帰ろうと告げる。魔法帝の彼にあれこれとものを言えるのはAくらいだ。
そして、視界に映ったアスタを見てAは目を見開いた。そういえば戦攻叙勲式からアスタもノエルも近くにいたと思ったのにこうもしっかりと顔を見たのは何だか久しぶりな気がした。途端に居心地が悪くなって「あー」と溜息ともつかない声を漏らして頬を掻いた。
「ごめん、無駄に怖がらせた。」
くしゃりと頭を撫でれば、いつもに戻ったと顔を明るくさせるアスタが元気すぎるくらいの返事を返した。その二人をユリウスはやはり我が子のように見守って王都へと戻った。
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マリイ - はなぼーさん» ありがとうございますユウカ様の小説一つも無くてレオポルド、アスタ、ラック、マグナ (ライア)好きだけど1番はユウカ様 FTとブラクロの中で (2022年8月4日 14時) (レス) @page47 id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - マリイさん» リクエストありがとうございます!作品一つ作るのは難しそうなので、ユウカとのお話をどこかで挟もうと思います! (2022年8月1日 21時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - ユウカ・スズキの小説も書いて欲しいです ユウカ好きなのでラミアスケイルの (2022年7月29日 20時) (レス) id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - ミトさん» コメントありがとうございます!長らく更新出来ていませんでしたが、ちまちまと再開致します! (2022年7月11日 11時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - ブラクロに再熱して夢小説探してたら面白いの見つけた…続きを楽しみにしてます! (2022年6月11日 1時) (レス) @page39 id: 54bc55279d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなぼー | 作成日時:2022年3月3日 18時