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壁にもたれ掛かり気を失ったラデスの顔を上に向かせて、顔を合わせるようにAがしゃがんだ。目を覚ませと言う様に顔を掴んだAにアスタが駆け寄るが、言葉は出てこなかった。Aから一歩下がったところで立ち止まった。フエゴレオンもアスタの横でじっとAを見つめていた。Aからはピリピリとした圧が伝わって来た。


「死体屋ってのはどこのどいつだ?コイツら三人以外の体も売ってんのか?」


顔を掴む手に力が入る。喋りにくそうに、苦しそうにラデスは声を漏らして歪に口角を上げた。


「この国の誰かさ…他の奴は知らねぇよ。」


すんなりと話したラデスは依然面白がる様に口角が上がっている。体はダメージでまるで動かなかったが、ラデスの気分はいつもより少しばかり高揚していた。掴んでいた手に炎が纏われラデスの顔を包む。熱に悶えるラデスをAは温度のない右眼で見ていた。


「待てA。オマエの気持ちは分かるが落ち着け。冷静になれ。」


ここで殺してしまえばラデスから何の情報も得られなくなる。死んだ仲間の体で遊ばれ冷静にいられるはずないのはフエゴレオンも分かっていたが、思わずといったように口に出てしまった。


「落ち着いてるよ。自分は今…すこぶる冷静だ。フエゴレオン。」


Aに名前で呼ばれた事などなかったフエゴレオンは小さくたじろいだ。目線だけ後ろに動いた右目はアスタの知らない目をしていた。ラデスの顔を掴んでいた右手の炎はパッと消える。


「王都を襲ったのは?そもそもどうやってここに入れた?」


炎は消えても顔に残った熱でまともに喋れなかった。Aは馬鹿ではない。彼女の中で一つの憶測が立っていた。


「魔法騎士団の誰かと繋がってんじゃないの?王貴界は常に魔法障壁が張られてる。その仕組みを分析して破ったってのも考えられなくもないけど、護衛の魔道士に賄賂でも渡したか?それとも消したの?そんなのが出来るとしたら騎士団員くらい。いや、団長か?何にしてもお前ら魔法騎士団の誰かと繋がってるよね?」


騎士団の中でもAの仲間意識は人よりずっと高い。仲間を疑う事はまずしない。そんな事フエゴレオンはよく知っている。それでも、Aの今の推理はフエゴレオンも脳を過ぎったものだった。他の可能性も考えられるが、Aの言った考えが一番現実的だった。

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マリイ - はなぼーさん» ありがとうございますユウカ様の小説一つも無くてレオポルド、アスタ、ラック、マグナ (ライア)好きだけど1番はユウカ様 FTとブラクロの中で (2022年8月4日 14時) (レス) @page47 id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - マリイさん» リクエストありがとうございます!作品一つ作るのは難しそうなので、ユウカとのお話をどこかで挟もうと思います! (2022年8月1日 21時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - ユウカ・スズキの小説も書いて欲しいです ユウカ好きなのでラミアスケイルの (2022年7月29日 20時) (レス) id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - ミトさん» コメントありがとうございます!長らく更新出来ていませんでしたが、ちまちまと再開致します! (2022年7月11日 11時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - ブラクロに再熱して夢小説探してたら面白いの見つけた…続きを楽しみにしてます! (2022年6月11日 1時) (レス) @page39 id: 54bc55279d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなぼー | 作成日時:2022年3月3日 18時

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