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パラパラと天井が崩れ、土煙が晴れていく。「バケモノかよ…」と呟いたのはソリドだ。依然その顔は挑発した表情である。


「これ以上仲間に手ェ出すなら灰にしてくぞ。人間の法律で自分(テメェ)を守れるなんて夢々思うなよ。」


場が静まり返った。アスタも構えていた剣を下ろしてAの背中を見つめていた。誰もが忘れかけていた。Aは三年前まであった王国、フィオーレ王国にある妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士であったと。優秀な魔道士を多く抱えるギルドだが、同時に各地で問題を起こす為、評議員から目を付けられていた魔道士ギルド。その噂は他国のクローバー王国にも届いていた。

そして同時に思い出した。Aがどうしてこの国で魔法騎士団としているのか。そうなった原因を。フィオーレ王国が地図から消えた原因を。



「そうか、そうだった…テメェは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士…三年前のたった一人の生き残り。ドラゴンによって破滅に追い込まれたんだってなァ…クローバー王国にもドラゴン共が来るんじゃねぇかってヒヤヒヤしたぜ。」



その話が今出てくるのは予想外だった。驚いた様にAの目が見開いた。アスタとノエル、ユノ達も息を呑むのが分かる。充満した鉄の匂いも、ドラゴンの雄叫びも、仲間の叫び声も、肉の裂ける音も何もかも鮮明に覚えてる。饒舌になったソリドは話を続けた。

ギルドに入る前は街で盗みを働いて、スラムで過ごし、どこかの商人の奴 隷であった。子供が一人で生活するにはそうでもしないと生きていけなかった。



「よく知ってんね。」



その過去を公にされた事よりも、ソリドがその話を知っている事にAは驚いた。後ろでアスタが言葉を繰り返す。信じられないと言わんばかりの口調にソリドは仲間にも言っていなかったのかと嘲笑った。


「おい、オマエ!それ以上……わぶッ………」


ずいっとソリドに言い返そうと前に出たアスタの顔を抑えて後ろに引っ込める。ソリドの口振りはどれも人から聞いた話の様だった。どれも本当の話だ。



「あー、でも一つ。三年前の生き残りは自分だけじゃないよ。もう一人いる。」

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マリイ - はなぼーさん» ありがとうございますユウカ様の小説一つも無くてレオポルド、アスタ、ラック、マグナ (ライア)好きだけど1番はユウカ様 FTとブラクロの中で (2022年8月4日 14時) (レス) @page47 id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - マリイさん» リクエストありがとうございます!作品一つ作るのは難しそうなので、ユウカとのお話をどこかで挟もうと思います! (2022年8月1日 21時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - ユウカ・スズキの小説も書いて欲しいです ユウカ好きなのでラミアスケイルの (2022年7月29日 20時) (レス) id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - ミトさん» コメントありがとうございます!長らく更新出来ていませんでしたが、ちまちまと再開致します! (2022年7月11日 11時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - ブラクロに再熱して夢小説探してたら面白いの見つけた…続きを楽しみにしてます! (2022年6月11日 1時) (レス) @page39 id: 54bc55279d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなぼー | 作成日時:2022年3月3日 18時

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