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崩壊する音と、瓦礫を破壊する音に混じってあまり聞きたくない音が混ざる。それに耐えきれずと言ったようにユノは視線を後ろへ動かした。アスタに回復魔法をかけるミモザと、その横で今にも吐きそうなAの姿。船に乗った直後である。


「ユノくん、前見て!」


ラックの言葉に我に返って目の前に集中する。それでも後ろから聞こえる音は気になって仕方ない。それを察したかのようにラックは口を開いた。「Aは乗り物酔いしちゃうから」という一言に、ユノは先程視界に入れたAは乗り物酔いの域を超えているのではと思った。











アスタの回復力は凄まじい。迷宮(ダンジョン)を出て数十分後に目を覚ましたアスタを見てミモザがそう呟き、Aも同調した。アスタの回復を終えたミモザは今度はあなただとAの左目に手をかざした。ミモザの残りの魔力でも出血を止め、傷を塞ぐ事は出来た。それにより、血であまり見えなかった傷跡が露になる。

その傷跡に思わず息を飲んでしまった。痛々しく残ったその傷は一体誰に付けられたのか、はっきりと口にする者はいなかったが、アスタの「その傷…」という呟いが、十分その役割を果たしていた。


「あぁ、これ…ドラゴンだよ。」


へ?と皆の声が重なった。「ちょっと待ってよ!」と声を上げたのはノエルだった。初任務の時にAから聞いた話では、Aに魔法を教えたのもドラゴンだったはずだ。それに育ての親だとも聞いた。ノエルの言葉にアスタもそういえばと思い出した様にうんうん頷く。


「そりゃ、ドラゴンにも色々いるでしょ。私に魔法を教えて育ててくれたドラゴンもいれば、ムカつく奴だっているよ。人間と一緒。」


開いた口が塞がらなかった。懐が大きいというのか、器が大きいというのか。自分にそれだけ傷を与えながらもケラケラと笑って語る。気になる事はあったが、もう誰もその事について訪ねたりはしなかった。Aの踏み込んではいけない域だと思った。

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マリイ - はなぼーさん» ありがとうございますユウカ様の小説一つも無くてレオポルド、アスタ、ラック、マグナ (ライア)好きだけど1番はユウカ様 FTとブラクロの中で (2022年8月4日 14時) (レス) @page47 id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - マリイさん» リクエストありがとうございます!作品一つ作るのは難しそうなので、ユウカとのお話をどこかで挟もうと思います! (2022年8月1日 21時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - ユウカ・スズキの小説も書いて欲しいです ユウカ好きなのでラミアスケイルの (2022年7月29日 20時) (レス) id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - ミトさん» コメントありがとうございます!長らく更新出来ていませんでしたが、ちまちまと再開致します! (2022年7月11日 11時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - ブラクロに再熱して夢小説探してたら面白いの見つけた…続きを楽しみにしてます! (2022年6月11日 1時) (レス) @page39 id: 54bc55279d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなぼー | 作成日時:2022年3月3日 18時

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