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戦闘では頭の回転が速かった。普段は見せない冷静さと頭脳派な一面を見せていた。炎と素手での格闘術を駆使した肉弾戦は高い攻撃力を持っていた。どんな戦況でも仲間達の士気を上げるその後ろ姿は逞しいものだった。
追い続けた男だ。憧れて、超えたい存在。男は立ち止まって振り返って待ってはくれなかった。手を差し伸べて立ち上がらせてはくれなかった。三つ、四つ程下の相手でも全力の魔法で迎え撃った。自力でここまで登り詰めて来いと言うような男の背中を睨み付けた。
マルスの大剣を防ぐにはブレスでないと間に合わないだろう。Aには男の様な爆圧も火力も持っていない。右目に映したのは風魔法の使い手であるユノだった。もう少しで拘束が解けそうな彼の魔法があれば、あの大剣を打ち壊すのも不可能ではないだろう。
「ユノって言ったか…拘束が解けた瞬間に突風を起こせ。そこからでいい。出来るだけ強い風を起こしてくれたらいい。」
相手は滅竜魔導士ではないが、ユノ程の魔力があれば十分だ。めいいっぱいに息を吸い込んで口の前で手を筒のように構える。同時に放った咆哮の攻撃力は過去に検証済みだ。加えて炎と風の相性はいい。風を受けてより大きな力に出来る。
ビキッと音を立てて拘束を解いたユノはAの言われた通りに動いたが、間に合う様には思えなかった。それはAも同じ様で苦い顔を浮かべていた。しかし、その目に諦めの色は映っておらず、双方思う事は同じだろう。死なせてたまるかと、その一心である。
だが、風は起きない。不思議に思うよりも何よりも先に一瞬時間が止まった感覚に陥った。我に返った時、マルスは既に倒されていた。その場の誰も何が起きたのか理解出来なかった。ただ、分かる事はユノの隣に現れた小さな存在の一息がマルスを倒したのだと言う事がユノにだけ分かっただろう。
今度こそ倒したと安心したのは束の間で、バラバラと崩壊を始める
ユノの作り上げた船に乗り込み、アスタの回復を試みるが、ミモザの残りの魔力で治せるのか怪しかった。掠れ、弱った声でアスタは意識を手放す直前にマルスも助けてやって欲しいと頼み込む。
「__大丈夫。あいつも死にはしないよ。」
アスタにそう返したのはAだった。この場のどれでも、マルスでもない匂いが教えてくれた。
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マリイ - はなぼーさん» ありがとうございますユウカ様の小説一つも無くてレオポルド、アスタ、ラック、マグナ (ライア)好きだけど1番はユウカ様 FTとブラクロの中で (2022年8月4日 14時) (レス) @page47 id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - マリイさん» リクエストありがとうございます!作品一つ作るのは難しそうなので、ユウカとのお話をどこかで挟もうと思います! (2022年8月1日 21時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - ユウカ・スズキの小説も書いて欲しいです ユウカ好きなのでラミアスケイルの (2022年7月29日 20時) (レス) id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
はなぼー(プロフ) - ミトさん» コメントありがとうございます!長らく更新出来ていませんでしたが、ちまちまと再開致します! (2022年7月11日 11時) (レス) id: 603a42e081 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - ブラクロに再熱して夢小説探してたら面白いの見つけた…続きを楽しみにしてます! (2022年6月11日 1時) (レス) @page39 id: 54bc55279d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなぼー | 作成日時:2022年3月3日 18時