View of blind【ONEPIECE】 (ページ20)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:60,268 hit

17話ページ20

　
　
　
男の大きな声と同時に子どもの泣き声がしたため、ナミさんはすぐに店から飛び出していった。
ナミさんは懸賞首だから目立つわけにもいかず、群れる野次馬の中で男の声を聞く。

「精霊の分際で！おれに指図するなこの餓鬼！！」

『いい関係を築いている……ね』

何が精霊の分際で、だ。
人間であるアンタより精霊のほうが高尚な存在なんだよ。
何か履き違えてるね。

『お兄さん、少しよろしいですか』

ﾅﾐ「ちょっとA…！」

「あぁ！？」

『貴方…何か勘違いしていませんか。精霊は人間のような汚らしいものでも護ってくれる存在なのですよ。…まぁ、貴方にそれが分かるとは思いませんけれどね』

こんなやつ、護ってもらったこともないだろう。
沸々と心の奥底から怒りが沸いてくる。

「なんだとテメェ！！」

ﾅﾐ「A！危ない！！！」

ﾌｯ)
男が突き出した拳を少しの動きで躱す。
あらら…簡単。

『口ほどにもないですね』

「っ…コイツ！」

清々しいほどの笑顔で言ってやると更に怒りだす。
そんな男の繰り出す攻撃は僕に掠りもしない。
…避けてばかりもつまらないし、ここは一つお灸をすえるとしようか。

『どこを狙ってるんだい？』
ﾄﾞｶﾞｯ)
「ガハッ」

『これに懲りたらその態度を改めることだね』

「クソっ覚えてろよ！」

なんとも定型文通りの言葉だな。
男の足音が遠ざかっていくのを聞いて、口を開いた。

『精霊さん。貴方達は気配がないからどこにいるのか分からないのです。良ければ僕の手に触れてくれませんか』

「…君は優しい人だね」

伸ばした僕の手に暖かいとも冷たいとも言えない手のひらが触れた。
精霊の手は人の手と違う。もちろん指は5本あるが、触れたことがなければ手だとは気づかない人間もいるだろう。

「私はニュート。貴方にご加護を」

ﾅﾐ「き、消えた…」

僕の手の甲に口づけて精霊…ニュートは姿を消した。
僕たちを取り囲んでざわざわと何かを話す野次馬が不愉快で、僕はナミさんの手を掴んだ。

『ナミさん、服屋に戻る？』

ﾅﾐ「…こんなに目立ってるのよ？違う場所に行きましょう」

『…そうしたほうがいいだろうね』

ナミさんがまた僕の腕を引いて歩き出す。
彼女の半歩後ろを追いかけながら、ふと違和感を覚えた。
少し腕が痛むか…？

先程の男のせいではあるまい。
じゃあなんだ…？

この違和感を放っておくべきではなかったと、後で後悔するのだった。

　