泉鏡花の被害者【文スト】 (ページ18)

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彼等と断罪者。ページ18

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あの日以降、ゴーゴリさんとは会わないが私とホーソーンさんは少し、ほんの少しだけ打ち解けられたような気がする。

ホーソーンさんは相変わらず一日の大半を”愛し君”への祈りに捧げ、たまに”愛し君”について語ってくれることもあった。聞けば聞くほどホーソーンさんが愛し君をどれほど深く思っているのかを知った。

蒼の断罪者については連日報道されている。
六人もの法で裁かれなかった犯罪者を殺したことで世間はどんどん蒼の断罪者を支持している。善い奴なんじゃないのか、悪人ではない。なんて、人の命を奪った奴を支持している。

警察は自分たちのメンツの為に動いているがいっこうに手がかりは見つからず。

当たり前だ、フョードルが完璧に隠蔽しているのだから。

でも、私は薄々感じていた。

蒼の断罪者、つまり私に。

終わりが来ているということを。

◆

『えぇ、藤嶋総太さんに殺害された被害者の少女の遺族が蒼の断罪者について。』

『蒼の断罪者は、私たちの娘の無念を払してくれました！蒼の断罪者は正義です！この世から犯罪者を消してくれる正義です！私達は蒼の断罪者を支持します！私達の娘の命を奪った人殺しを裁いてくれたのです！』

テレビに映るのは狂ったように蒼の断罪者を崇拝する支持者。隣にいた鏡花ちゃんは無表情でテレビを見つめていた。太宰さんが呟く。

「このままだと……マズいね。
……それにそろそろ向こうが七番目の罪人を裁く頃だ。私達も仕掛けなくては」

「仕掛けるって……」

「清野Aをおびき出す。
その為には鏡花ちゃん、君の力も必要だ」

太宰さんは鏡花ちゃんに目を遣る。
『指示なら』いつもと変わらない様子で鏡花ちゃんは頷く。その瞳は組合戦で警官さんを切りつけた時の瞳と同じように見えた。胸騒ぎがして、鏡花ちゃんに声をかける。

「大丈夫。私は探偵社員。公私混同はしない」

ねぇ鏡花ちゃん、それってどういう意味？

ねぇ鏡花ちゃん、君は、清野さんについてどう思っているの？

「太宰さん、その清野さん……という方はどうなるんですの？」

「死罪だろうね」

ナオミさんが息を呑んだ。
死罪、死罪、死罪、死罪、死罪、死罪

隣にいた鏡花ちゃんに目を向ける。
死罪という言葉を聞いても尚、鏡花ちゃんは顔色を変えることはなかった。

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