泉鏡花の被害者【文スト】 (ページ17)

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わたしの道化師。ページ17

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「さて、クイズです！私の異能はなんでしょう！？そして私は誰でしょう！？」

「……」

「私は誰でしょう！？」

「……」

「大正解！私の名はゴーゴリッ！！」

ゴーゴリと名乗った道化師は満面の笑みを浮かべる。ホーソーンさんの態度を見るからに”此方側“の人間なのだろう。じゃなきゃ私を助けたりしない。

「……でも、どうして私を」

使い捨てられることは覚悟の上だった。
銃の扱いに慣れているだけで私は強くないし、元々は普通の高校生。私に助けるだけの価値があるとは思えない。

「どうして私を助けたのか、って？
そんなの簡単さ。君に利用価値があるから！それで？他に質問はある？」

ゴーゴリは唇を三日月形に歪ませる。

「一体……どうやって……」

「どうやってあの場から脱出したのか？
それも簡単さ！私の異能は半径30メートルの範囲で離れた空間と繋げることが出来る能力。ホーソーンくんと君をこの外套に突っ込んでこの空間へ接続した。……え？すごいかっこいい？惚れた？命の恩人ありがとう？いやぁ、照れるなぁ！でもでもドスくんにも感謝してあげてね。

ドスくんは日本中を停電させた(・・・・・・・・・)んだから。あ、勿論一時的にね。外灯が消えたのはそういう事さ。にしても月が隠れるなんて偶然にしては凄いよね！君はラッキーガールだ！」

一気に捲し立てるように話されたが、その言葉は一言たりとも聞き逃さなかった。日本中を停電？どうやって？いや、この際どうやったのかなんてどうだっていい。私が知りたいのは。

「私に利用価値なんてあるのですか」

「あるさ。君は武装探偵社員に両親を殺されたという過去を持つ。君がいれば武装探偵社は下手に手出しは出来ない。だって君は紛れもない被害者だからね。現に彼らは警察に通報せず、取引を持ちかけようとしただろう？それにドスくんは今後の計画にも君を入れている。失敗しない限り、使い捨てられる可能性は限りなく低いよ」

気がつけば鼻の奥が痛み、涙が滲み出てきた。
私はいつも泣いている。本当にみっともなく、情けない。止めようと思っても、私の意思とは反対に涙は溢れてもう自分でも訳がわからなくなる。

「あまり泣かせないでください」

「待って私無実」

ホーソーンさんとゴーゴリさんの話し声を横で聞きながら、私は彼らに云った。

　「私を───利用してください」

非力な私でも、探偵社にほんの少しの傷を与えることくらいなら出来ると思うから。

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