幕は何度も２ ページ48
「済みません、変な事云って！」
敦君は慌てて手を振る。
「否、君の感覚は間違いじゃないよ。私はあの後、彼と話した。それに……芥川君とも似てるんだよ、私」
「Aさんと、芥川が？」
私は頷く。
「敦君、芥川君が何のために闘うのか訊いたんだよね？」
訊けば、敦君は頷いた。
「『太宰さんに認めさせる為』と」
「前世の記憶を取り戻す迄の私もそうだった。兄さんに認められる為だけに奔走していた時期が私にもあったんだよ。幼子にとって親が全てであるように、幼い私にとってはあの兄が全てだったから」
敦君はただただ私を見ていた。
「そんなことが……」
「そして芥川君にとっては自分を拾った“太宰さん”が全てだった」
「それで、同じく太宰さんに拾われて太宰さんの部下の僕を……」
敦君は顎に手を当てて考え込んだ。
「でも何故あんなに、船上で……」
私は遠くを見た。
「マフィア時代の兄さん、部下教育上手くなかったんだよ……」
私の表情から何かを察したのか、敦君は「太宰さん……」と呟くなりチベットスナギツネのような表情をしていた。
*
「っくしゅん！」
「太宰君、風邪でも引いたかね？」
「噂でもされているのかもしれないねえ」
「確かに、君は噂の的だろう」
「ふふ……却説、私はお暇するとしようかな」
*
却説、流石に何時までも居候を続ける訳にはいかない、とＱちゃんと共にマフィアに戻る準備をしていた。今日はもう遅い。出立は明日だ。
探偵社に贈る為の菓子折の目星はつけたし、と荷物に腰かけて織田作さんから貰った小説を開く。開くと、中から紙ナプキンが滑り落ちる。それを既の所で掴む。
「そういうことね。……知ってたよ、此の野郎」
――あれが通じるのは我々三人と、せいぜいAさんだけですよ。
---
「先にやっているぞ」
私と、道中で合流した太宰さんを見て、織田作さんはグラスを掲げた。中の蒸留酒が揺れる。手前に座っている安吾さんも同じようにして掲げる。
「安吾さん、来れたのですね」
私の前には銅杯が置かれ、中で甘辛い飴色の液体がシュワシュワと音を立てていた。
「ええ。こんな時にしては珍しく抜けられたので」
彼の手元のグラスには黄金色の液体があった。
「こうして集まるのは実に四年振りだね」
太宰さんの前に見覚えのある酒杯が置かれる。
「乾杯しよう。四人がここに集まった記念。あるいは異能戦争終結祝いか、新しい世代の誕生祝い。その他何でも」
横浜の夜は静けさを帯びて。
「ストレイドッグに」
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
