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僕もうおうち帰る(泣) ページ39

出勤したら首領から呼び出しをくらった。
私は、何でだよー怖いよー着せ替え人形にされるよー幼女趣味中年がぁああ……なんて頭を覗かれたら即三発撃たれて敷居石噛まされて後頭部破壊されそうな思考を巡らせ乍事務所の最上階に登った。

このフロアの高級感はいつ見ても慣れない。走ろうが歩こうがスキップしようが、音が立たずに埃もあまり舞わないこの廊下は、元来庶民の私が踏み込んでいいところではないと思う。
ただ、驚くべきことにこのフロアの掃除の担当は私の部下である。
本来、『桜桃』の任務は滅多にない。大抵の任務は下位互換のような部隊で事は済む。しかし、大規模な組織や、下位互換部隊が盗み出せないほど厳重に保管されているデータをハックする際には『桜桃』が呼ばれる。
そのような事情があり、『桜桃』の隊員は暇な事が多いのだ。だから建物の清掃等で暇を潰しているのだ。
それに、『桜桃』にはゴーゴリのようなタイプの異能を持つ者がおり、その異能を活かしている。本人曰く、ゴミ捨てにはもってこいの異能。それでいいのか。
また、場を清める異能者もこの部隊には居て、掃除が終わった後にその場を清めているそうだ。そのおかげが、彼女が掃除した後の空気は綺麗だし、爽やかな気分になれる。因みに彼女は異能の効力を活かしつつ、マフィア専属のカウンセラーの様なこともやっている。SANチェック案件が多いこの物騒な組織には必須だ。

そんな事を考え現実逃避をしていたら、とうとう首領の執務室前まで来てしまった。
「厭よ、偶にはできるオンナ、みたいなお洋服だって着たいの！」
「ええ〜、エリスちゃんにはドレスの方が似合うよ〜。これ着ておくれよ〜」
「い！ や！ よ！」
……これだから来たくなかったんだよ。
私の本能が警鐘を鳴らし続けている。今すぐ立ち去れ、と。だが開けなくては……今度は物理的にやばいことになるし、最悪処刑だ。頑張れ私、着せ替えはすぐに終わるさ、早く開けなくては……。
「首領、失礼します。用が済んだらすぐ帰らせて下さい」
本当に失礼な事を云いながら私は執務室に入った。
すると、珍しく首領は直ぐに私の方を向いて、中年幼女趣味からマフィアの首領になった。
「Aちゃん、君を呼んだのは他でもない」
ピリピリとした空気の中、首領は口を開いた。
「……エリスちゃんには矢張りドレスだよね？」
私は一呼吸し、笑顔を作った。
そして、
「僕もうおうち帰る」
私は直ぐ部屋を出ようとしたが、引き止められた。

私、マ（フィア）女（準幹部）のキ○！ こっちは命の危機！→←決意

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