【文スト】知ってたよ、此の野郎←【文豪ストレイドッグス】【太宰治】

気合いの入れ方 ページ34

今日は休みだ。
だが、私の起きる時間は変わらない。

朝起きて、テレビをつける。
その番組やその系列の新聞や週刊誌は偏向報道をし、大したことない問題を誇張して政権の批判ばかりしていた。
正直飽き飽きする程、世の中はいつも通りだった。
私は其れ等を冷めた目で観ていたが、撮り貯めていたアニメをつけた。最近流行りの漫画がアニメ化すると聞き興味を覚えて観始めたのだが、矢張り面白い。私は観ながら、腹を抱えて笑ったり、鼻水でぐちょぐちょになるまで泣いたり、非常に楽しんでみていた。

しかし、其れが終わった途端、途方も無い不安感に襲われた。
どんなに現実逃避しても厳しい現実は何も変わらない。

嗚呼、頭が痛い。躯が重い。

私はなんとも云えない気持ち悪さに、ベッドに倒れ込んだ。
私は其の儘、海底へ沈むかのように深く眠ってしまった。

暫くして起きたら、もう日はとっくに沈み月が輝いていた。

時間を無駄にしてしまった事を後悔しながら居間に行くと、太宰幹部がテレビ台の中を漁っていた。
「プライバシーの侵害、いい加減止めて下さい」
私はアニメのDVDを奪い取り元に戻した。
「だって妹の趣味くらい知っておくのが兄の仕事だと思って」
私はその言葉を聞いて、頭に血が上ったのか熱くなってきたように感じた。私は下唇を噛んだり、拳を握って落ち着こうとした。
が、
「だって君、どんなのが好きか云ってくれないんだもの。昔から全然云ってくれないし、分からないのだよ、な――」
私は我慢ならず彼の頬を打った。
乾いた音が部屋の中に寂しく響いた。
静寂が空間を支配していた。
「……昔から分からない？ じゃあ貴方は昔から私の事を分かろうとする努力をしましたか？
知る為の時間は腐る程ありましたよ」
私の口からは今迄の鬱憤を全て吐き出すかのように言葉が溢れてきた。
「プライバシーの侵害はやめてと何度も申したのにやめませんでしたよね。其れこそ知ろうともしていない証拠ですよ。仕事押し付けた上に理不尽な言葉を掛けてきて。この間なんか睡眠妨害してきて。貴方に認められようとして血反吐を吐いても、緊急搬送されて生死の狭間をさ迷っても貴方は無関心。親の七光ならぬ兄の七光と云われても仕事以上の事も全てこなして来たのに、貴方は女遊びばかりして私なんて見てくれなかった！」
私は捲し立てた。
「今更兄貴面しないで下さい。私の事、名前で呼んだことも無い癖に」
鏡に映った私は般若の面のような血走った眼をしていた。

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