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「いい加減に起きろ、俺の部屋で熟睡だなんていい度胸だな。」
ああ、また彼奴の声がする。
其奴の聞き慣れた低い声は、今はより下がり、半ば唸っているようにも聞こえた。
眠気は薄れて覚醒に近づいているが、少々誂いたくなり目は閉じたままでいる。
「狸寝入りするくらいなら永遠に寝かしてやっても良いんだが?」
その言葉と共に何かが迫るような気配を感じて体を横に転した。
そのまま身を起こせば、自分が先程いた場所には大きな穴が…そしてそれを作ったであろう、鋭利に尖らされた触手があった。
触手は、自分を睨みつける彼の背中から魔法陣を介してうねっている。
「折角の良いベッドが台無しじゃないか。シーツだけじゃなく台座まで貫通したように見える。」
その発言通りに彼の攻撃はマットレスを貫通し、床架…台座にまで穴を作っていた。幸い床までは突き抜けていないらしい。
感情に身を任せて行動すると碌な事にならない。此奴がいい例だろう。
「誰のせいだと思っているんだ、この減らず口が…!」
少し誂っただけだというのに、相手は先程まで抑えていた怒りを言葉に表した。相も変わらず分かりやすくて良い玩具だとつい口角が上がってしまう。
「俺のせいではないな、攻撃したのはお前で……おっと、そんなに怒るなObsidian。」
彼、改めObsidianが眉間に皺を寄せて触手を再度構え直す。
先程まで寝ていた客人に対していささか無礼ではないだろうか。まあ十中八九、その客人である自分が相手を挑発しているからだろう。
残った1、2割は此奴の短気な性格のせいだ。
「言わなきゃ分からないほど馬鹿にでもなったか?お前のせいだろうが。」
はて、俺以外に誰かいたらしい。勿論「お前」が誰を指しているのかは分かっているが、敢えて首を傾げてみる。
結果触手で刺されかけた。
避けなかったら顔面が飛んでいたかもしれない。よく暴れる触手だ。
「お前のせいだJet、分からないのならNightmareとでも言ってやろうか?」
今度は本気で首を傾げる羽目になってしまった。
いつ俺が此奴にNightmareという名前を教えたのか、記憶にもない。
此奴もNightmareの派生、そしてその立ち位置に置かれている事からして何処かで知ったのか?
Obsidianはやっと不愉快を全面に出した表情を辞め、代わりに嘲り混じりの笑顔を浮かべたのだった。
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螺子 - 続きが気になる病に罹りました!!のんびり更新待ってます〜!! (2023年2月1日 17時) (レス) @page19 id: ef6865ad9b (このIDを非表示/違反報告)
もふわた【きまぐれ極低浮上】(プロフ) - 星雪桜さん» コメントありがとうございます、シャタド君にはネガティブのために(大抵が度を過ぎた)悪戯をしてほしいな、と……完全なる幻覚ですが、やんちゃしていてほしいですね…!! (2023年1月14日 13時) (レス) id: 16b00589d0 (このIDを非表示/違反報告)
星雪桜(プロフ) - そちらのお宅のShattered、ちゃんとネガティブ採取しようと動いて… カワイイ。(本当はそれが正しいのですが)初コメ失礼致しました。 (2023年1月14日 11時) (レス) id: 2d02a9e0d3 (このIDを非表示/違反報告)
もふわた【きまぐれ極低浮上】(プロフ) - 宇治露 歩阿さん» 思いついたら気ままに書いていこうと思います。 (2023年1月13日 8時) (レス) @page9 id: 16b00589d0 (このIDを非表示/違反報告)
宇治露 歩阿(プロフ) - 新作楽しみにしてます (2023年1月13日 0時) (レス) id: 0bb7a6f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もふわた【きまぐれ極低浮上】 | 作成日時:2023年1月11日 19時