2021/4月5日 ページ16
「・・・桜河、今日予定はありますか?」
「入れるわけないやろ」
「そうですね。・・・では、行きましょうか」
命日に、お墓参りに。
途中で花屋によってから、電車で数駅の墓地に向かう。遠目にはなるが、桜の見える墓地。
「坊、坊の高校一年は・・・どんな感じじゃったん?」
お参りを終えても、あまり離れる気になれない墓石の前でこはくは司にそう尋ねた。
「そうですね・・・一言では語り切れません。それはもう、いろんなことがありましたから」
イベント一つひとつ、いや、それ以上に、普段から。
「ユニーク」という言葉だけでは足りないような個性的な同級生や先輩と過ごした日々。
「桜河こそ、どうでしたか?」
「せやなぁ・・・それこそ、人生ががらりと変わった年やからな。学校に行って、ユニット組んでアイドルやって・・・一年前のわしには考えられんことばかりじゃ」
学校に行ったり、癖、もとい個性の強すぎるメンバーと、一つの小さな社会を荒らしたり。騒がしすぎるほどに騒がしい一年だった。
「お姉さまの分まで引き受けたのでしょうね」
「そうやね。・・・お嬢の分まで、楽しまんと」
「そうですね」
またできる、微妙な間。
「桜河。・・・しないのですか、返事」
五年越しではあるが、こはくの思いが変わっていないのなら。
いや、たとえ変わっているとしても。手紙が渡ったことを、Aに伝えたかった。
「・・・お嬢。わしもずっと・・・好きやった」
少し強い風が吹いて、それに乗って桜の花びらが飛んでくる。
もうほとんど散ってしまったはずの、桜の花びらが。
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友人Z(プロフ) - ありがとうございます…!そう言って頂けてとても嬉しいです!スカウトも最高でしたね…! (2021年5月19日 23時) (レス) id: f2050604ed (このIDを非表示/違反報告)
かお(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです。言葉の表現と、お話の構成がとても綺麗で、引き込まれました!これからも頑張って下さい!!! 司くんのスカウトかわいすぎましたよね笑 (2021年5月16日 18時) (レス) id: 16a5bce890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:友人Z | 作成日時:2021年3月29日 21時