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次の書類に手を伸ばそうとしたが、手を置いた場所には書類はなく、顔を上げると右に積まれていた。
それに手を伸ばそうとしたら、それを止められた。
「?どうかしたか?」
「もう終わり」
「は?」
重たい瞼をギリギリで保ち、目を細めているので自分でも目つきが悪い事が分かる。見てはないけど。
まあ、その顔を少しでも和らげようとも思わない自分も自分だよな。
「後の書類は今日じゃなくてもいいし、他のも明日でも十分間に合うし、明日以降でも大丈夫だから」
「?そうか」
だから何なんだ?
どうせしなければならない書類なのだ。今日やろうと明日やろうと、しないといけないのは変わらない。
再び書類に手を伸ばそうとすると太宰が「〜〜だから!」と大きめの声を出した
「もう休みなよ!ほら!お風呂入れたから!はい立つ!!」
腕を引っ張られ無理やり立たされた私は、されるがまま太宰の後を歩いた。
やばい、全然動いてなかったから足が重い。
血の臭いを消すためだけに使ってた風呂を、身体を休めるために使うなんて変な感じだ。
「ゆっくりしなよ!あ、でも寝るなよ!」
「あれ?」
「なに?」
「んー…いや、無理やり服脱がされるかと思ったらそこまではしねェんだなって」
歩いただけでも疲れて、ボーッとして言うと「するわけないだろ!?」と大きめの声だが、どこか震えた声で、顔を見ると耳が赤かった。
「若いな」
「〜!!さっさと入れ!!」
そう言って脱衣所を出た。私は扉を開けて太宰の背中に向けて口を開いた。
「着替え一式もお願い。分かんなかったらそこら辺にいる奴に頼め」
「分かったよ」
「下着もな」
「分かってるよ!」
扉を閉め、鏡で自分の顔を見てギョッとした。
「死体みてェな顔だな…」
服を脱ぎ、籠に入れ、風呂に入った。
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作成日時:2017年4月24日 23時