転生者は、挑戦する Lv.2【イナズマイレブン】

第078話・VSファイアードラゴン4 ページ32

一方、韓国のベンチでは後半も油断せず、警戒をしつつ試合を運んでいこうという相談が成されていた。

「後半、Aちゃんは出てくるかな」
「オマエはいつもそればっかりだな」
「円堂君や鬼道君も警戒されるべき存在ではある。けれど…世界に唯一手が届いている彼女が、出てきてくれなくては僕ら胸を張ってアジア代表と名乗れないよ」
「全くもってその通りです。彼女にも教えて差し上げましょう、龍の恐怖を」



そしてコートチェンジをし、イナズマジャパン、ファイアードラゴン共にポジションに着いた。
だがそこで観客席がざわついた。

「なっ！？」
「10人……だと…？」
「………Aちゃん」

南雲、涼野が目を瞬かせ、アフロディがすかさずAへ視線を送るが彼女は隣のベンチに座っている鬼道とフィールドを見ながら何か話し合っていた。


「……ナメられたものですね、我々も」

普段、冷静沈着に物事を判断し指示を出すチェ・チャンスウ。その彼が声を低くし、静かに怒りに震えていた。
控え選手は怪我をしていないのが、円堂とAの2人がいる。1人足りないのなら、それはそれでいい。円堂のポジションがGKだからだ。
━━━━━━だが、フィールドプレイヤーであるAは怪我をしている様子もない。そうだというのに、彼女は戦いの舞台に上がってこない。


「…面白いじゃないか」
「アフロディ…？」
「FFの時とは違う。…フィールドに引きづりだしてしまえばいい。桜は春に咲く花だけれど、ピッチでしか咲かない花もある」


アフロディの決意に呼応するように後半戦のホイッスルが鳴った。
ドリブルで攻め上がる南雲に早速チェックしにいく不動。何度もチャージされ苛立ちを覚える南雲。勢いつけ振り切ろうと再度チャージをするがひらり、と不動が躱しボールを奪う。

ドリブルで上がる不動の前に、ファイアードラゴンの選手が立ち塞がる。不動はパスをするでもなく、ドリブルで抜かすでもなく目の前でリフティングを始め、明らかに余裕を持った彼の態度にカッとした相手選手は無策にも突っ込んでしまい、不動は逆上し突っ込んで来ることを読んでいたのだろう、相手選手を躱しドリブルでファイアードラゴン陣内へ進んでいく。

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