転生者は、挑戦する Lv.2【イナズマイレブン】

第077話・VSファイアードラゴン3 ページ31

「お前はそれでいいのか？！」
「言いもなにも、私は予選を勝ち抜けば試合出れるし」
「そうじゃない！ それに、俺たちがここで━━━━━━」

「負けたら世界にいけないんだぞ！」と言う落とした風丸の口をAが手で塞いだ。

「？！」
「そういうの言霊っていうんだよ。もしもとか、そういう話もキライ。口に出していいのは、『私たちは世界へ行く』それだけなんだから」

珍しくふざけた様子もなく風丸の顔をじっと見つめ話すAに呆気に取られて「あ、あぁ……」と力なく引き下がる風丸。

円堂が立向居、飛鷹にエールを送る中、痛めた膝を冷やしている鬼道は不動を見ていた。

「気になる？」
「……お前は気にならないのか…」
「不動の勝負強さは信頼できる。むしろ本人のやらせたいようにやらせておけば、その力を遺憾なく発揮してくれる」
「……あんなことがあって…随分と信頼しているんだな…」

あんなこと、とは確実に真・帝国学園での出来事だろう。

「まぁ…多少引っかかるところはあるけど……不動のツンツン度はいっそ可愛いものだから。ずっといじけてるツンデレっていうか」
「……」
「なに？」

鬼道は信じられない、というような表情でAを見ていた。

「そこまで割り切れるか？」
「それは鬼道とこのチーム次第。不動だって世界の舞台へ行きたい、勝ちたい…そういう想いがあるから今ここにいるんだよ。不動のサッカーへの想いは信じていい」

確かに不動の普段の態度や相手を挑発し、あえて争いごとを増やそうとしているような行為は安易に容認できるものではないが。

「A……」

鬼道は、彼女が人を良く見ているのを分かっている。影山のことがあって不動に対しては不信感しかなかった。だというのに、当事者であるAが不動を信じていると言うのだ。
気に食わない━━━━━━

気に食わない。けれど彼の実力は認めざる負えないことに鬼道は奥歯を食いしばる。

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