第156話・指示 ページ21
「ちっ」
たまらず舌打ちを漏らすA。デモーニオを追走する。
ふとデモーニオが影山と視線を合わせた、瞬間━━━━━━
「くはっ…!?」
「「A!?」」
腹部にシュートと同じ威力のボールが彼女に襲い掛かった。
土埃をあげズザザッとフィールドに身体を擦りながら倒れて動かなくなるA。
ボールは彼女にぶつかり、コロコロと白線を越えた。
円堂、フィディオ、鬼道、佐久間、不動たちが倒れて動かない彼女に駆け寄った。
「大丈夫か!? A」
「けほっ……あー、だいじょうぶ…」
鬼道が彼女の体を抱き起こし声をかける。
彼女は空咳をしながら、やや鬱陶しそうに答えた。
「おいおい、そんなところにいたら…パスの邪魔になるじゃないか」
ニヤッと笑うデモーニオにオルフェウスのメンバー全員が睨んだ。
「今はっ」
「確実にわざとだ」
「…Aには手を出さねぇっと思っていたが、ついにやりやがったか…」
フィディオが拳を握り、佐久間が影山を睨み、不動も頭を掻きながら答えた。
そして前半戦の終了を伝えるホイッスルがフィールドに鳴り響いた。
鬼道たちの手を借り立ち上がるA。
ユニフォームに着いた埃をパンパンと掃い、平然としてまるで小石に足を取られたような。
「A、おまえ本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。ボールの軌道は読めてたし、それ以上にデモーニオのシュートが速かった。
━━━━━次はないから」
心配する鬼道を安心させるように破顔していたA。
穏やかな笑みを浮かべているのに笑っていない。
昨日も今日も、彼女のそんな表情ばかり見ている。
ベンチに戻ろうとしたAの腕を強く引く鬼道。
「来い!」
「え、ちょ!? なに! いやーヤメテ! お説教は! お説教だけは〜〜〜〜!」
と建物の物陰に2人は隠れてしまった。
「あいつ説教されることしたのか?」
「鬼道には考えがあるんだよ」
「……鬼道…(Aのことが心配なんだな。フィディオたちに影山のこと話せば、
スパイだと疑われてしまう…それに、さっきのことが後半戦もあるとしたら……)」
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皇(プロフ) - 一番最初から全部読みました。最高です。しかもまだまだ続く…!やっと追いついたので本日の一言も始めてみましたがとても面白かったです。これからも更新頑張ってください!✨ (2022年9月22日 9時) (レス) @page38 id: 84ae00d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ(プロフ) - 本日の一言が好きすぎる (2022年9月14日 23時) (レス) @page23 id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2022年9月11日 16時