第012話・花は散るもの ページ13
「地球を揺るがすことではあります。ですが、何故日本なのかというのがわたくしの疑問です。彼らは確かに全国大会で優勝を果たした雷門イレブンを下した。ですが、所詮は全国です。大会に出ていなくともひとチームの中には圧倒的なまでの存在感のある選手がいます」
「! まさか…」
「ええ、助言しましたよ。理事長に」
Aは呆気に取られた。まさか大叔母が地上最強のサッカーチームを作るように助言していたとは思えなかった。
「監督に就任した吉良さん」
「知っているんですか…?」
「ええ。吉良財閥の女性です。吉良氏とは以前から面識がありました」
―――はははっ…さすがは九重…
と顔が引きつりそうになったA。
「吉良氏は現在、行方を晦ましています。ここからはわたくしの憶測ですが―――おそらくエイリア学園の正体は人間でしょう」
「……」
「おや、驚かないようですね」
「はい。あのスピード、パワーは人間の限界を超えているものではありません」
「目で追えないこともない――と、捉えますが」
「はい」
藤は前に置かれたお茶を飲み、Aを呼んだ。
「いいですか。今の話は憶測です、下手の郊外しないように。わたくしも調べてみますが…どうか気を付けて」
「はい。藤さんもお気をつけて」
頭を下げたAに今まで険しい表情をしていた藤の表情が柔らかくなった。
「それと…」
「はい?」
「フットボールフロンティア優勝おめでとうございます。また今度挨拶に伺います。では、今日は置いた撒いたします」
立ち上がった藤を竜臣が呼び止めた。だがそれを治めるように彼女も「良いのです、竜臣さん」と微笑んだ藤の顔は何故か、悲しそうに見えた。
するとそこへAの携帯に理事長から連絡があった。奈良でエイリア学園の襲撃があり急いで雷門中に集合してほしいと。
「…私、行きます。…地球、いえ…日本を守るために」
「ええ、いってらっしゃいAさん」
Aは乱暴に脱ぎ捨てていた靴が揃えられているのを見て祖母に「ありがとう」と伝えて、玄関に用意されていた部活用の鞄を持って家を出た。
「藤…本当にいいのか?」
「良いのです。わたくしとあの子は、血のつながりはありませんから。…花はいつか散るものです」
藤は自身の胸を強く抑えた。
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活字不足卍(プロフ) - 実は何度か主人公のデフォルトネームを変えようとしたことがある (2022年6月9日 1時) (レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
SERARU(プロフ) - コメントさせて貰います♪最初から読んでいて、凄く面白いです!いつも楽しみにしています!私も真・帝国学園が楽しみなんですよね♪待ち遠しいですwww (2019年7月29日 5時) (レス) id: 3e7ed852f8 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - また、すみません!第033話はないのですか? 前のコメの返事ありがとうございます! (2019年7月27日 19時) (レス) id: d3fece9e75 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - こんにちは!第032話にある「隣では塔子が付かれたのだろう」の付かれたのだろうは、疲れたのだろうではないでしょうか? (2019年7月27日 19時) (レス) id: d3fece9e75 (このIDを非表示/違反報告)
レンサ(プロフ) - コメント失礼します。35話の高根じゃなくて高嶺ではありませんか? (2019年7月27日 18時) (レス) id: 6d7ff987c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2019年7月24日 15時