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第218話・「おめでとう」と誰かの声が聞こえた ページ30

歓声が沸き上がり、観客たちが興奮のあまり立ち上がり拍手を雷門中に送った。

「かった…?」

しばし放心して状況を飲み込んだ円堂たちは大いに喜んだ。
それを見ていた世宇子イレブン。


「神の力を手に入れた僕たちを倒すとは……なんて奴らだ…」
「ホント、呆れるほどバカ丸出しでしょ?」
「…A、ちゃん……笑いに来たのかい?
 君に忠告をしておいて、君の忠告を毛ほども言いていなかった僕を」
「ああ、大いに笑っているとも。…気持ちよかっただろう?
 本気の想いを、意思をすべてを込めて撃った球は」
「!……それは」
「けど負た。それは君たちの弱さじゃない。
 …ここから先へ一歩踏み出すための、大切な負けなんだよ」

驚くほど穏やかに微笑むAに世宇子イレブンは口を開いたまま見つめた。



(……嗚呼、そうか。そういうことか…。
 彼女がずっと、円堂くんたちとサッカーをしていた理由……僕は…━━━━━)



純粋にサッカーを楽しんでいた。だが純粋な気持ちだけでは試合には勝てない。
だから―――力を与えてくれた影山を、力をもたらす神のアクアに依存し、
心までもが蝕まれてしまったことにようやく気が付いたアフロディは、
肩の荷が下りたような気がした。



「なれたのかな、俺たち…伝説のイナズマイレブンに!」
「いや、伝説はこれから始まるんだ!」

彩り豊かな紙吹雪の舞う中、雷門イレブンが観客たちに手を振る。



「A!」
「風丸…!」

世宇子イレブンの元へいたAを呼んだのは、風丸だった。

「…約束…守ったぞ…。お前の夢…叶えたぞ…!」
「うん…。おめでとう…━━━━━━ありがとう」
「…ああ…」

さすがのAも感極まったのか、その空のような青い瞳から雫が溢れ出た。

「泣いてるのか? やっぱり女の子だな」
「ばかっ、こういうときはハンカチの一つでも出しなよ」
「わ、わるい…!」

 自分で涙を拭きながら泣き笑いをするAに戸惑う風丸は頭を掻いた。
生憎と試合中にはポケットに何も入れない主義のため、ハンカチも出せないのだ。






 





━━━━━━━━━━━━━━おめでとう。






「!!……━━━━━」


微かに聞こえた女性の声。
振り向いても誰もいない。

だが、どこか…懐かしく温かく、安心する声━━━━━━━。

あとがき→←第217話・世宇子戦 その7



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設定タグ:イナズマイレブン , アニメ沿い , 女主人公   
作品ジャンル:アニメ
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活字不足卍(プロフ) - ワタシコトシ24サイ(嘘) (2022年6月9日 1時) (レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - おー!!楽しみにしているぞい!!そして下ネタ突っ込んで来るな〜 (2019年7月25日 18時) (レス) id: baae3e32b1 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 作者さん、ボロくそ分かるぞそれ。確かに照美様は顔は美しいのに無印でゴッドノウズ撃つ時とても男らしいよな!!そして毎回私も叫んでいる!!←そしてそれについて姉さんや先輩と語りあっている← (2019年7月24日 8時) (レス) id: baae3e32b1 (このIDを非表示/違反報告)
歌音 - とても面白いです。続き楽しみにしています! (2019年7月21日 15時) (レス) id: 60755d8909 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はじめまして!毎日楽しく読ませてもらってます。私こういう小説大好きでしてこれからも更新頑張って下さい!(*´ω`*) (2019年7月20日 9時) (レス) id: d3fece9e75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2019年7月19日 1時

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