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第189話・両親 ページ1

ふとキッチンから歌声が聞こえた。

「おーおーおおー♪ よーしのー♪ みんなお前に感謝している〜♪ WOW WOW WOW WOW〜♪ なんだか具体的に挙げられないけれど♪ とにかくお前に大感謝♪ 吉野! ヨシノ! Ahよしの‼ おーおーこれからもYOSHINOが一番さ!」

「よしのって誰だ?」
「さあ」
「前の学校の人じゃないか?」
「そういえばAも転校生だったな」

 そんな話をしてしばらくするとAがやってきて「おまたせ〜」とリビングのテーブルに料理が並んだ。彼女の作った照り焼きチキン、サラダ、ご飯、みそ汁、漬物が並んだ。

「「おおっ」」

 男子たちが並べられた料理に目を輝かせると「いっぱい食べてね!」とAが嬉しそうに笑顔で言った。

「「いただきます!」」
「そういえばみんな自分の家に連絡した?」
「ああ」

 鬼道が夕飯のことを連絡すると言った時に風丸、豪炎寺も自身の家に連絡をしたようだ。

「意外な特技だな」
「い、意外…だとっ…?!」
「家庭科はAの得意科目だぞ?」
「一人暮らし長い分自炊もそりゃ覚えるよ〜、たまーに食べるコンビニ弁当とか美味しく感じることもあるし」
「一人暮らし? そういえば今日、Aのおじいさんたちは?」
「今日明日はいないの」
「そうなのか。大変じゃないか?」
「こんなのは慣れだよ、慣れ」

 前世の記憶通りに料理をしているわけではない。料理は身に付くものであって、記憶だけではどうにもならない。Aは祖母に手伝ってもらいながら懸命な努力をした。火加減を間違えて料理を黒焦げにしたこともある。誰しも失敗はつきものだ。

「Aの両親はどんな人だったんだ?」
「え、」
「鬼道…!」
「……」

 彼女は、聞かれた質問にしか答えない。質問をすれば彼女はちゃんと要点は語る。それを知っていて鬼道は聞いている。

「そうだねぇ…おかあさんは、優しい人だった。手のぬくもりなんてもう点で覚えてないけど。とっても優しい人だったよ」
「…そうか」
「おとうさんはね、悲しい人だよ」
「悲しい?」
「そう。悲しい人なの」

 箸が止まったAは、その瞳を閉じた。

第190話・円堂流の特訓→



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作品ジャンル:アニメ
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活字不足卍(プロフ) - ワタシコトシ24サイ(嘘) (2022年6月9日 1時) (レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - おー!!楽しみにしているぞい!!そして下ネタ突っ込んで来るな〜 (2019年7月25日 18時) (レス) id: baae3e32b1 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 作者さん、ボロくそ分かるぞそれ。確かに照美様は顔は美しいのに無印でゴッドノウズ撃つ時とても男らしいよな!!そして毎回私も叫んでいる!!←そしてそれについて姉さんや先輩と語りあっている← (2019年7月24日 8時) (レス) id: baae3e32b1 (このIDを非表示/違反報告)
歌音 - とても面白いです。続き楽しみにしています! (2019年7月21日 15時) (レス) id: 60755d8909 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はじめまして!毎日楽しく読ませてもらってます。私こういう小説大好きでしてこれからも更新頑張って下さい!(*´ω`*) (2019年7月20日 9時) (レス) id: d3fece9e75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2019年7月19日 1時

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